2025年度コンピュータ・リテラシー(cl5-2025・cl6-2025、前期金曜3・5限)のページ

全15回授業終了までの課題

1. 授業の感想メール

2. タイピング練習

タイピング技能検定

補講 8月1日

Excelによる公平公正な席替え(1)

この授業では、なるべく同じ席に着席しないように指示をした。協力・協調・協働をなるべく多くの受講生の間で行うためだ。だが、授業が深まるにつれて、やがて同じ席に着席する受講生が多くなる。仲の良い受講生と離れて着席するのが嫌だからだと思う。つまらない授業だからせめて仲の良い受講生の近くに着席したい、そうすれば何とか苦痛に耐えられる、という意味合いもあるだろう。この考えをぶち壊すために、後半の授業では強制的に席替えを行おうと思っていた。もちろん、公平公正な問答無用の席替えを行う必要があるのだが、このためにExcelのrand関数とrank関数を活用するのがよい。プレゼンテーション実習の担当者をくじ引きの要領で抽選するのと同じ考え方だ。

はじめに、cl5-2025の全受講生35名の名簿を作成しておく。連番、学籍番号の下3桁、氏名が記載されていれば十分だ。次に、教室の座席配置図を作成する。3109実習室(座席数・実習パソコン台数は48)の場合、6列・8行の表を作成する。この表を2つ作成すると、作業の流れや全体像が理解しやすくなる。

続いて、席替えのための自動計算を進めていく。第一に、rand関数を使って、表1のすべてのセルに乱数を割り当てる。第二に、rank関数を使って、表1に割り当てた乱数の順位を表2で計算させる。表1と表2のセルが対応するように、セルの番地とセルの範囲が正しく指定されているかどうかを確認する必要がある。順位は1桁または2桁で表示されるが、3桁表示になるように「セルの書式設定」を変更しておくのがよい。この授業では、教卓から向かって一番左の列とすべての列の一番後ろの席には着席させたくない。ここで、表1の該当セルに割り当てられた乱数をすべて消去すると、表2の対応セルには「#N/A」が表示されるはずだ。

このようにすると、表2には001から035までの数字がランダムに割り当てられることになる。つまり、学籍番号の下3桁が001の受講生は表2で001が表示されている席へ、002の受講生は002が表示されている席へ...034の受講生は034が表示されている席へ、190の受講生は例外として035の席へ、それぞれ割り当てることができる。つまり、「3桁で表示される順位」を「学籍番号の下3桁」とみなすことによって、すべての受講生をランダムに着席させることができる。このようにして、cl5-2025の全受講生を公平公正に席替えさせることができる。

Excelによる公平公正な席替え(2)

上記の方法でcl6-2025の席替えを行おうとすると問題が生じる。この 授業の全受講生34名の学籍番号は下3桁035から068までだが、rank関数では35位から68位までの順位は算出できない。したがって、単純にrank関数だけでは学籍番号のランダム表示ができない。この問題を解決するために、以下の2つの方法をとるとよい。

ひとつは、rank関数で算出する順位のすべてに34を加算する方法だ。表2のすべてのセルに記載するrank関数のうしろに一律に「+34」を追記すればよい。このようにすれば、1位は35位に、2位は36位に...33位は67位に、34位は68位に、それぞれ変換される。その後はcl5-2025の席替えとまったく同様に、「3桁で表示される変換後の順位」を「学籍番号の下3桁」とみなせばよい。このようにして、cl6-2025のすべての受講生をランダムに着席させることができる。とても単純な方法で、まず間違いがない。すべての受講生の学籍番号が連番になっているから、このように機械的な対応が可能になる。

もうひとつは、vlookup関数を使う方法だ。表2では1位から34位の順位が算出されるが、この順位を「名簿の連番」とみなし、名簿から連番の場所を検索(look up)して、その連番が割り当てられている「学籍番号の下3桁」(つまり、連番の右隣り=名簿の2列目に記載されている「学籍番号の下3桁」)に置き換え表示する、という方法だ。この方法では、vlookup関数の中でrank関数を使う、つまり、関数を入れ子にする(ネストする nest)ことが必須となる。名簿のセルを絶対参照することとあわせて、注意が必要となる。この方法は万能で、学籍番号が連番になっていなくてもよい。「学籍番号の下3桁」の代わりに「氏名」(つまり、名簿の3列目に記載されているデータ)を表示させることもできる。もちろん、この方法でcl5-2025の席替えを行うこともできる。

席替えの作業ファイルをUniversal Passportにアップロードしておいたので、実際に席替え作業を試してもらいたい。関数の再計算をすると座席の割り当てが大きく変わるはずだ。学籍番号の重複もないはずだ。これらのことも確認してほしい。

第15回 7月25日

プレゼンテーション実習の振り返り、全15回授業の振り返り

授業を通じて習得した知識・スキル、新入生が習得すべきコンピュータ・リテラシー

受講生があげたものは以下のとおり。

独自性や個性を発揮する

教員の指示やアドバイスを信奉し過ぎないでほしい。評価についても、あくまでも主観に過ぎないのだから、一喜一憂しないでほしい。総合して、教員の言動を鵜呑みにせず、疑いの目を持って受け入れてほしい。

プレゼンテーション実習では、青山流スライド作成術を踏襲したスライドが目立った。教員の実践を模倣する、教員の実践の良い点を取り入れるという点で、それ自体は決して悪いことではない。一方で、独自のスライド作成に取り組んだ者が少なかったように思われた。スクショや図表のより効果的な使い方、聴衆を引きつけるアニメーションやトランジションの利用、配色の試行錯誤、発表内容に合う写真の利用...これらにもっと大胆に挑戦して、「映える」スライド作成に取り組んでもよかったように思う。

教員の指示やアドバイスを信奉し過ぎると、教員の顔色をうかがうことに気を配りすぎて、言動が保守的になってしまうのではないか。保守的になるだけでなく、よい評価を得るために、悪い評価を受けないために、冒険をしなくなるのではないか。総じて、没個性的な面白みのない言動に終始するようになってしまうのではないか。それは本当につまらないことだ。教員の指示やアドバイスとは関係なく、教員・学生の関係を超えたところで、独自性や個性を発揮できるようになってもらいたい。

7月の課題 プレゼンテーション実習

投票によって以下の2つのテーマから1つを選択し、プレゼンテーションを実施する。

  1. インターネット・スマホ時代の語学学習 学習方法の提案、実践の紹介(cl5・cl6共通)
  2. 高校生が身につけるべきコンピュータ・リテラシー 大学1年生からの提案、オープンキャンパス参加者へのメッセージ

プレゼンテーション実習実施要領

第14回 7月18日

プレゼンテーション実習 統一テーマ:インターネット・スマホ時代の語学学習

意見・コメントは報告内容について行うこと

質疑応答では、質問をする代わりに意見やコメントを述べてもいい。ただし、報告の内容についての意見やコメントを述べてほしい。報告の方法についての意見やコメントをしないでほしい。

報告全体を聞き終えて、「発表全体がとても聞き取りやすかったので、内容の理解が深まった」というコメントが思い浮かんだとする。そのコメントを述べてはいけないわけではないが、大学生が述べるコメントとしては幼稚すぎる。「スライドがとても美しくデザインされていたので、発表に集中することができた」「聴衆の関心を引くような話し方だったので、最後まで飽きずに発表を聞くことができた」などもまったく同様で、大学生としては幼稚なコメントだ。このような意見やコメントは、質疑応答の場ではなく、プレゼンテーションの反省会や振り返りの場で述べてほしい。

意見やコメントをする場合には、どのようなことでもいいから、内容に言及してほしい。「英作文添削サービスの実際の利用方法を知ることができたので、自分も利用してみたいと思った」「YouTubeの動画はすべて字幕を表示することができると思っていたが、字幕を表示できない動画があることを知ってとても驚いた」「スマホが勉強の邪魔になると自分も思っていたので、同じ考えの人がいることを知ってとても安心した」というような意見やコメントはどうだろうか。

パフォーマンスの評価を人格の評価と結びつけないこと

今回の実習では、以下の5つの観点評価と自由記述で報告者の評価を行った。

  1. スピーチ:聞き取りやすい声、適切な言葉遣い、朗らかな雰囲気づくり
  2. 内容:テーマに合っている、新たな発見がある、独自性がある
  3. 資料:デザインが美しい、まとまりがある、図表がある
  4. 質疑応答:真摯な態度、適切な回答、すべての質問やコメントに対応
  5. 時間:短すぎない、長すぎない、適切な時間配分

報告者の中には、想定していない評価を受けて戸惑った人もいただろう。特に、ネガティブな内容の自由記述評価を受けた人は、評価を読んで落ち込んだり傷ついたりしたかもしれない。これまでに経験したことがないくらい落ち込んでしまったり、一晩寝ても評価のことが忘れられなくなったりした人がいたかもしれない。非常に重要なことなのだが、実習の評価は単なるパフォーマンスの評価として冷静に受け取ってほしい。決して、人格や人間性の評価として受け取ってはならない。

この逆で、誰かのパフォーマンスを評価する場合には、純粋にパフォーマンスだけを評価するように努めてほしい。ネガティブな評価をしなければならない場合、適確な言葉遣い・表現を使うことを心がけて、できる限り慎重に、かつ、大胆に、簡潔に評価をしてほしい。人格を否定したり、人間性を否定するような言動を慎み、誠実かつ真摯に評価に臨んでほしい。

第13回 7月11日

情報セキュリティ・モラル

情報セキュリティを国際関係学部的に考察する

「情報セキュリティ10大脅威 2025」を考察してわかるように、情報セキュリティについての問題は国際関係学のさまざまな領域と関連が深い。この授業の受講生には、組織編の2位と7位の問題をぜひ理解してもらいたい。

サプライチェーンは商品の開発・生産・在庫管理・流通・販売に関連するさまざまなモノやサービスの流れを指す概念だ。サプライチェーンの構築・維持には情報通信機器の利用が必須だ。もし機器の脆弱性が放置されていれば、サイバー攻撃の格好のターゲットになる。サプライチェーンは国内だけでなく国際的に構築・展開されることがあるから、サイバー攻撃も国際的に行われる可能性がある。サプライチェーンをターゲットにするサイバー攻撃についての適切な知識を習得することは、国際的なビジネスの成否に直結する重要な課題になっている。

国際的なサイバー攻撃は、特定のサプライチェーンが狙われるものだけではない。例えば、警察庁警備局が発行する『焦点』令和6年版の第5章は「サイバー情勢」を特集している。ここで注目されているのは、中国・北朝鮮・ロシアの3国が関連するとされるサイバー攻撃だ。日本の隣国である中国・北朝鮮・ロシアは、単に軍事的な安全保障上の脅威となっているのではない。国境を越えて行われるサイバー攻撃から社会経済活動を守るという観点でも、中国・北朝鮮・ロシアの動向を注視しなければならないのが現状だ。このことが「地政学」をキーワードとして、近年大きな関心を集めるようになってきている。国際関係学を学ぶ学生としてぜひ理解しておきたい。

パソコンやスマホのOSをアップデートする

サイバー攻撃の対策の基本中の基本は、インターネットに接続する機器のOSを常に最新にしておくことだ。決しておろそかにしてはならない。機知の脆弱性について適切に対応することはインターネット利用者の義務である。

Windowsパソコンの場合、WindowsUpdateを定期的に実行することを強く推奨する。月に1度行えば十分だ。具体的には、Patch Tuesdayと呼ばれる第2火曜日(日本時間では翌日水曜日)に最新のWindowsUpdateが発表されるから、その後に行うのがよい。アップデート作業には数時間かかる場合があるから、時間的に余裕を持って作業するのがよい。例えば、夜寝る前に実行すれば、翌朝起きたときにはWindowsが最適な状態になっているはずだ。

Apple製品のOSは定期的にアップデートされるわけではないから、気が向いたときにアップデートを行うことになる。多くの場合、macOSとiOSと同時に最新のアップデーターが公開される。もしMacとiPhoneの両方を使っているなら、同じタイミングでアップデート作業を行うのがよいだろう。アップデーター公開のニュースは多くのインターネット・パソコン関連情報サイトで報道される。ぜひ定期的にチェックしてほしい。なお、青山は「APPL Ch.」で情報収集している。

Android OSは機器によってアップデーター公開のタイミングが異なる。少なくとも月に1度はアップデーター公開の有無をチェックしておきたい。アップデーターが公開されると通知が表示されることがある。通知を受けたら早急にアップデート作業を行ってほしい。

第12回 7月4日

PowerPointスライドショーの作成と設定(3)

スマホと外部モニターの接続方法

青山はLightningポート搭載のiPhone11とDP Alt Mode非対応のAndroidスマホ(Bigme HiBreak Pro)で外部モニターが利用できることを確認している。ぜひ各自のスマホでも確認してほしい。

iPhoneの場合

搭載ポートがLightning(iPhone14以前)かUSB-C(iPhone15以降)かどうかを確認する。それぞれに適切なアダプター、ケーブルを接続すると、ほぼ自動的に外部モニターを認識し、スマホの画面が外部モニターに投影される。

Lightningポート搭載機種

アップル純正のLightning - Digital AVアダプタ(Appleストアで7980円)を利用する。

USB-Cポート搭載機種

アップル純正のUSB-C Digital AV Multiportアダプタ(Appleストアで9980円)を利用する。

注意事項

アップル純正アダプターでなく、互換製品を利用してもよい。Appleストアでは、Lightning対応の互換製品は販売されていないが、USB-C対応の互換製品はBelkin Connect USB-C to HDMI Adapter(8400円)が販売されている。USB-C対応アダプターの代わりに、HDMIケーブルと変換アダプターが一体化しているUSB-C・HDMI変換ケーブルを利用してもよい。

Androidスマホの場合

搭載ポートがUSB-CかMicro USBかどうかを確認する。

USB-Cポート搭載機種

DisplayPort Alternate Mode(DP Alt Mode)対応機種であれば、USB-C・HDMI変換アダプターを利用する。HDMIケーブルと変換アダプターが一体化しているUSB-C・HDMI変換ケーブルを利用してもよい。いずれも、ごく一般的にパソコンショップや家電量販店で購入できる。DP Alt Mode対応かどうかは、取扱説明書やカタログに必ず記載されている。

DP Alt Mode非対応機種の場合、Synaptics社のDisplayLinkチップを採用したHDMI変換アダプターを利用する。必要に応じて、USB-A・C変換アダプターまたはUSBハブを利用する。パソコンショップや家電量販店では購入しにくいので、オンライン通販ショップで購入するとよい。DisplayLinkチップを採用したアダプターを利用するには、GooglePlayで専用アプリDisplayLink Presenterをインストールする必要がある。外部モニターが接続されている状態でDisplayLink Presenterを起動すると、スマホ画面が外部モニターに投影される(利用方法の詳細は省略する)。

Micro USBポート搭載機種

Micro USB・HDMI変換アダプター(MHL変換アダプター)を利用する。Micro USBポートを搭載した機種が減っているので、変換ケーブルがパソコンショップや家電量販店では購入しにくいかもしれない。オンライン通販ショップで購入するとよい。

プレゼンテーション実施時のトラブル対応

青山が実際に経験したことがあるトラブルと青山が対応したことがある他の教員のトラブルは以下のとおり。

6月の課題 授業紹介

前期に履修している授業1つを選択して、授業紹介文を作成すること。

授業紹介作成・提出要領

第11回 6月27日

PowerPointスライドショーの作成と設定(2)

自分ひとりで機器設営する

大学生の多くはノートパソコンを所有している。そのノートパソコンを使って、さまざまな課題に取り組んでいる。プレゼンテーションのためのスライドショーやレジメを作成するのも、大学のPC実習室のパソコンではなく、自分のノートパソコンだ。だから、プレゼンテーションも自分のノートパソコンで実施すべきだ。自分のノートパソコンを持ち込むのだから、プレゼンテーション機器の設営も自分自身で行うべきだ。授業担当教員がやってくれるのかもしれないが、自分のパソコンを他人に預けるべきではないし、運が悪いと、教員があなたのパソコンを壊してしまうかもしれない。教員を安易に信用しないほうがよい。自分のことはできる限り自分でやるべきだ。

本学の場合、およそすべての教室に液晶プロジェクターとスクリーンが設置されている。液晶プロジェクターとスクリーンの代わりに大型モニターが設置されている教室もある。あわせて、2〜3メートルのHDMIケーブルも常備されている。授業が行われていなかったら、学生もプロジェクター、モニター、ケーブルを自由に利用することができる。特別な許可を取る必要はない。授業や課外活動でプレゼンテーションを行うことになったら、会場となる教室で機器設営の練習を行うべきだ。何ごとも、練習、予行演習、リハーサルを行うことが重要だ。まずは見様見まねで、受講生同士で協力して、設営を試行錯誤すればよい。成功しても失敗しても、メモを取るべきだ。このようしてノウハウを蓄積して、より多くの受講生と共有すべきだ。もちろん、より多くの人がひとりで機器設営できるように、受講生以外の友人知人とも共有すべきだ。

HDMI接続ができない場合の対処法を知る

パソコンと外部モニターを接続したらすぐに映像が投影できるわけではない。特別な操作をすることなく、自動的に映像が投影されたとしたらハッピーなことだが、次もそうなるとは限らない。別の教室でも同じようにハッピーになるとは限らない。どのような状況でも、どのような機器の組み合わせでも、確実に映像が投影できるように、適切な知識とスキルを習得する必要がある。

Windowsパソコンの場合、外部モニターを接続したら「表示」を確認する必要がある。シンプルに、「複製」を選択すると覚えればよい。外部モニターは映像信号を自動的に受信するわけではない。入力切り替えや接続切り替えなどの機能を使って、映像信号を正しく受信できるようにしなければならない。HDMIケーブルで接続する場合、リモコンや本体スイッチで「HDMI」を確実に選択する。複数のポートがある場合、接続ポート番号を必ず確認して、適切に切り替える。パソコン側で「複製」が正しく選択されていれば、パソコンの画面が正しく投影されるはずだ。

もちろん、ケーブルの緩みがないように、正しく接続しなければならない。ケーブルや変換アダプターを交換しなければならないこともあるだろう。リモコンがうまく動作しない場合には、電池切れを疑う必要がある。また、モニターの主電源がオンになっていなければ、そもそも何も映らない。とても重要なことだが、意外と忘れてしまいがちだ。

準備、予行演習、リハーサルの段階で確認すべきことはたくさんある。もちろん、すべてひとりで確認できることだ。

第10回 6月20日

PowerPointスライドショーの作成と設定(1)

よいプレゼンテーションと悪いプレゼンテーション

受講生があげた要素は以下のとおり。

よいプレゼンテーション

悪いプレゼンテーション

過去の失敗経験を振り返る

受講生の中には、高校までの授業や課外活動でプレゼンテーション経験を積み重ねてきている人もいる。その経験の中には、思い出したくないもの、不快なもの、二度と経験したくないものがあるだろう。ぜひこの機会に、大学生として振り返り、失敗経験を分析してほしい。

例えば、アニメーションを取り入れたスライドがうまく実行できなかった経験はないだろうか。アニメーションを多用しすぎると、どのタイミングで何が動き出すのかがよくわからなくなることがある。アニメーションの実行に時間がかかりすぎて、話を進めるタイミングを失うこともあるだろう。他にも、手持ちの原稿を棒読みするだけのプレゼンテーションになってしまった経験はないだろうか。原稿を読むために視線が下がり、声が小さく聞き取りにくくなった結果、言いたいことがまったく伝わらない...そんな様子を見たアドバイザーの教員から怒られたことはないだろうか。いずれも、とても貴重な経験だ。

失敗経験から学ぶことは多い。失敗の要因を取り除けば、成功への確率が高まる。大成功に至らないまでも、大失敗になることは防ぐことができる。大学生として人間的にも成長している今なら、過去の失敗を糧にできるはずだ。この意味で、昔のことを少しだけ振り返ってほしい。

レーザーポインターのデメリット

レーザーポインターは一点を指し示すことが非常に難しい。特に、スクリーンから離れれば離れるほど、一点を指し示すことが難しくなる。ポインター自体は軽量で操作も簡単なのだが、ポインターを固定することはかなり難しい。一点を指し示そうとしてもレーザー光が小刻みに揺れ続けることになる。心地よくないと思う聴衆もいるのではないだろうか。スクリーンから遠く離れると光の揺れ幅は大きくなる。イライラを感じる聴衆も増えてくるのではないか。

このことを確認するために、実際にレーザーポインターを操作してみてほしい。ポインター機能を多用するのはあきらめて、スライド操作機能を利用するだけにとどめるのがよいと思う。代わりに、PowerPointスライドショーに装備されているレーザーポインター機能を利用することを推奨したい。

第9回 6月13日

データの可視化、集計、読み解きの基礎・応用(3)

順位算出の誤りを分析する

成績処理の基本を学んだ後、RANK関数で順位を算出しようとすると、かなりの確率で順位が間違って算出される。同じ順位が大量に発生するから、何かが間違っていることがすぐに理解できる。このことをよく理解してほしい。

例えば、100人の成績処理を行うとする。運がいいと、1位から100位までの全順位が1人ずつになる。だが、何人かの受験生が同じ順位になることは大いにありうる。なぜならば、得点が同点になることがありうるからだ。もちろん、1位が1人だけではなく、2〜3人になることもある。ほかにも、10位や24位が複数人いるかもしれない。このような、理想から少しだけかけ離れた、ちょっと違和感があるかも、という結果が得られたら、本当に正しいのかを確認する必要がある。具体的には、「本当に同点なのか」を目視・検算する必要がある。もし本当に同点だったら、必ず同じ順位になるからそれでよい。だが、同点ではないのに同じ順位になってしまったら、問答無用で、明らかに間違いなのだ。順位算出のやり方が間違っている可能性が高いのだ。もちろん、順位算出をやり直すことになる。やり直し方は授業時間中に説明したとおりだ。そんなに難しい作業ではないから、ごく短時間に終わるはずだ。

実際の成績処理でも、このようなごく簡単な検算・確認を行っている。非常に重要なプロセスなので、絶対に省略してはならない。

作表はWordとExcelのどちらで行うのか

「作表はExcelで」という固定観念に捕らわれすぎている受講生が多いようだ。自分を解き放って、Wordでの作表を練習してほしい。データの簡単な分類、単純集計のための表はWordで作成するのがよい。

まず、「そもそも何列・何行の表を書きたいのか」を確認する。表の挿入機能で、列と行の数を指定する。すると、自動的に表が作成される。あとは、見出しやデータを記入し、列の幅と行の高さを適切に調整し、フォントと文字サイズを整えるだけだ。表全体を中央揃えしてページの中央に配置すると、まずまずの見栄えになるはずだ。

授業時間中に説明したとおり、Wordで作成した表でも、合計や平均値を自動計算させることもできる。現時点では、Excelでの計算とは作法が違う、ウェブ検索すれば参考情報が得られる、ということを覚えておけばよい。

第8回 6月6日

データの可視化、集計、読み解きの基礎・応用(2)

データの範囲を推定する

大学入学共通テストと同様に、TOEICは過去の試験の平均スコア・スコア分布・受験者数を公開している。公開情報をもとに、得点の範囲と該当する受験者数を推定してみる。

2025年5月18日(午後)の試験は、受験者数23842人、平均点610.2点、標準偏差164.4点である。ここから、約68%の受験者、つまり、16212人の受験者の得点は445.8点から774.6点までの間にあることが推定される。ここで、実際のスコア分布を確認してみる。445点から745点までの受験生を合計すると、1981+2314+2638+2626+2539+2349+1932=16379人となる。なかなか悪くない推定だ。また、上位16%と下位16%の受験者はそれぞれ3814人で、合計7628人と推定される。実際には、上位16%の受験者は1409+1095+961=3465人、下位16%の受験者は1521+1172+720+398+141+29+6+4+7=3998人、合計は3465+3998=7463人となる。推定から多少ずれるが、まずますの精度だ。

まったく同様に、約95%の受験者の得点範囲と約99%の受験者の得点範囲についても推定してほしい。

数学的な発想を試みる

あとで書きます。

5月の課題 自己紹介の作成・提出

以下の3つのテーマから1つを選択して、自己紹介をすること。

  1. 本学国際関係学部の志望動機
  2. 英語の運用能力の向上にむけての取り組み
  3. 「ガクチカ」(上記の2以外で、学生時代に力を入れたいと思っていること、または、いま力を入れていること)

自己紹介作成・提出要領

第7回 5月30日

データの可視化、集計、読み解きの基礎・応用(1)

成績処理業務を体験する

小学校入学以来、試験を受験するたびに成績データを受け取ってきたはずだ。合計点、平均点、クラス・学年の最高点・最低点などを知り、一喜一憂してきたはずだ。それらは教員が行った成績処理の結果だ。教員はどのような業務を行っていたのか、簡単なデータを使って追体験してほしい。

四則演算、つまり、たし算・引き算・かけ算・割り算ができれば、合計点と平均点を算出することができる。Excelでもまったく同様だが、関数を使えば圧倒的に効率がよい。合計はSUM、平均はAVERAGEだ。丸括弧内にデータの範囲を指定すれば、計算しなくても目的の数値が得られる。同様に、最高点はMAX、最低点はMINという関数を使えば、いとも簡単に目的の数値が得られる。全データを目視して、最高点・最低点を手作業で探し出す必要はない。

この流れを覚えれば、何教科でも何百人でも、効率よく短時間で成績処理を行うことができる。教員が行っていた業務はそんなに難しいものではない、ということが理解できるはずだ。

標準偏差を理解する

標準偏差とは、データのばらつきの大きさを示す数値だ。標準偏差が0だったら、ばらつきはゼロ、つまり、すべてのデータが同じだ。標準偏差が大きければ大きいほど、データがばらばらになっている、ということだ。

もし国際関係学部1年生200人がTOEICを受験して、全員の得点が600点だったとする。すると、平均点600点・標準偏差0点になる。つまり、得点のばらつきがまったくないということになる。もちろん、このようなことはきわめて例外的で、まず起こりえない。ふつうは、成績がよい学生もいれば、成績が悪い学生もいる。だから、得点がばらばらになる。得点がばらばらになるので、標準偏差はある程度大きくなる。

もし、今年度2025年度も昨年度2024年度も平均点は同じ600点だが、標準偏差が100点と150点だとする。すると、昨年度よりも今年度の方が得点にばらつきがなさそうだ、昨年度の新入生よりも今年度の新入生の方が似通った成績になっていそうだ、昨年度と今年度では何かが違いそうだ、ということがわかる。だが、実際にどのようにばらついているのか、どれくらい似通っているのかは、標準偏差からはわからない。それらを知るためには、ヒストグラムや散布図を作成して、実際の得点分布を検討する必要がある。もちろん、成績の違いの原因はわからない。学生への聞き取り調査を行ったり、小・中・高の英語の教科書の分析を行ったりする必要がある。

第6回 5月23日

ドキュメント作成の基礎・応用(2)

目次作成とアウトラインの関係

優秀卒業論文をいくつか見ているとわかるが、目次が適切に作られている。Wordには目次作成機能があるので、誰でも簡単に非常に美しい目次を自動的に作成することができる。ページ番号の記載も手作業ではなく、自動的に行うことができる。この前提にあるのは「アウトライン」の考え方だ。

卒業論文のような数十ページ・数万字にわたる文書を書く時には、ただやみくもに文章を書いていくのではなく、章立てを考えるはずだ。加えて、章の中の段落の構成、さらに、段落をまとめた節の構成を考えるはずだ。章や節に見出しを付けていくと考えをまとめやすくなり、結果として、よい文章を書くことができるようになるはずだ。これは「アウトライン」の考え方だ。章・節に適切な見出しを付け、そのおおまかな構成を考えつつ、章・節の文章を編集して、文書全体を完成させていく、という考え方だ。章の順番を変えたり、節の数を増やしたり、ある章から別の章へ節を移動させたり...これらもアウトラインの考え方だ。

アウトラインに考え方によって文書が作成されていれば、美しい目次を一瞬にして作成できる。章・節の見出しを目次作成機能に読み込むだけだ。あとは見栄えを微調整すればよい。章・節の順番を変えたら、目次にもすぐに反映される。ページ数が増えても減っても、目次にすぐに反映される。非常に便利な機能だ。

授業時間中に配布した『最新版 論文の教室』(戸田山和久、2020年、NHK出版)の「見出し番号をつけよう」(pp.274-276)も参照してほしい。もちろんだが、配布した資料以外の他の章もぜひ参照してほしい。

フォントサイズと行間の調整

授業時間中に配布された『最新版 論文の教室』(戸田山和久、2020年、NHK出版)の「9-4 内容がイマイチならせめて体裁だけでもキレイにしてね」(pp.273-283)によれば、レポート本文のフォントサイズは10.5ポイントか12ポイントに統一してほしいとのことだ(p.274)。たったいま書き終わったレポートは游明朝・10.5で書いているが、さすがに文字が小さすぎると思うので(老眼に苦しんでいると青山は言っていたし)、全体を12ポイントにしてから提出しよう。フォントサイズを10.5から12に変更すると、レポート全体の書式が大きく乱れてしまった。行間が広く空いてしまい、ページ数が増えてしまった。たった1000字程度の文章なのに2ページにわたってしまう。1000字程度のレポートは1ページに収めるようにと、青山はいつも強調しているから、2ページのレポートを提出したら自分は殺されてしまうに違いない。いったい、どうしたらいいのか...

...というようなイライラや悩みを抱えているWordユーザーは非常に多い。ウェブ検索してみると、間延びする行間を美しく整える方法を紹介しているページがたくさん検索されるはずだ。それくらいこの問題は深刻だ。今も日本中のどこかで、いや、世界中のどこかで、Wordユーザーが路頭に迷っている。この授業では、「標準文字数」「グリッド線」の2つの方法を紹介し、その効果を実際に検討した。問題を確実に解決できるとても簡単な方法なので、ぜひ覚えてほしい。そして、イライラや悩みを抱えている身の回りのWordユーザーにぜひ教えてほしい。

第5回 5月16日

ドキュメント作成の基礎・応用(1)

文章をなるべく短く書く(1)

授業時間中にも確認したが、よい文章を書くために実践してほしいことベスト3をあげるとすると、「文章をなるべく短く書く」「適切に句読点を使う」「段落を作る」の3つになる。このうち最も重要かつ難しいのは「文章をなるべく短く書く」ということだ。文章を短く書くことの重要性は、青山がなんの根拠もなくテキトーに自己チュー的に主張しているわけではない。例えば、小笠原喜康が『大学生のためのレポート・論文術』(オリジナル版は2002年、新版は2009年、最新版は2018年、いずれも講談社現代新書)の最終章で述べているように、分かりやすい文章の原則は「短文・単文にする、一文を短くする」ことである。この授業の受講生は本学草薙図書館でぜひ確認してほしい。もちろんだが、小笠原のアドバイスを読むだけで、分かりやすい文章を書くことができるようになるわけではないから、何か大きな勘違いをしないようにしてほしい。

文章を短く書くことの重要性は、小笠原が2002年から繰り返し指摘している。2025年度の大学1年生が生まれたのが2005〜6年だから、この重要性はあなたが生まれる前からず〜〜〜〜っと指摘されているのだ(もちろん、その前からもずっと)。それくらい、文章を短く書くことは大学生にとって重要な課題なのだ。

文章をなるべく短く書く(2)

授業時間中にも確認したが、よい文章を書くために実践してほしいことベスト3をあげるとすると、「文章をなるべく短く書く」「適切に句読点を使う」「段落を作る」の3つになる。このうち最も重要かつ難しいのは「文章をなるべく短く書く」ということだ。文章を短く書くことの重要性は、青山がなんの根拠もなくテキトーに自己チュー的に主張しているわけではない。黒木登志夫は『知的文章術入門』(岩波新書、2021年)の第2章で、分かりやすい知的文章の3条件「知的三原則」として「簡潔、明解、論理的」をあげている(p.20)。この授業の受講生は本学草薙図書館でぜひ確認してほしい。もちろんだが、黒木のアドバイスを読むだけで、分かりやすい知的文章を書くことができるようになるわけではないから、何か大きな勘違いをしないようにしてほしい。

なお、黒木はガン研究を専門とする医学者である。医学者のアドバイスは文系の我々には無縁のものだ、理系の学生に向けたアドバイスは文系の我々には理解することはできない、などと馬鹿げた考えを持たないようにしてほしい。よい文章を書く、分かりやすい文章を書く、これらの課題についてのアドバイスに、理系も文系もないのだ。

第4回 5月9日

World Wide Web  効率的な情報検索、情報・データの引用・参照

コピペしてもよいものは積極的にコピペする

参考文献リストには書誌情報を記載する必要がある。奥付を確認しながらタイピングしてもよいのだが、出版社のウェブサイト、オンライン書店の紹介ページ、図書館の検索結果からコピペすればそれでよいのではないだろうか。平均的な大学生はタイピングの精度が低いので、書誌情報も間違ってタイピングしかねない。漢字変換を間違えてしまうこともあるから、結果として著者名を間違ってしまうこともあるだろう。そういう馬鹿げた事態を防ぐためには、まず間違いのない情報源から情報を転載すればよいのだ。

情報検索・情報収集の出発点を変える

何か調べたいことがある時、ウェブ検索を使えばおよそ目的を達成することができる。ごく短時間でとても簡単に目標を達成できる場合も、なかなか目標にたどり着かず長時間かかってしまった場合もあっただろう。これまでに十分な経験を積み、必要な知識とスキルを身につけているだろうから、あとはテキトーにやってほしい。

だが、何か調べたいことがあるが情報検索にかけられる時間が限られている、試行錯誤を繰り返すための余裕がない、という場合にはこれまでの経験があまり役に立たないかもしれない。その場合には、情報検索の方法や出発点を変えた方がよい。そのひとつは図書館を出発点とする方法だ。図書館に行けば、情報収集の範囲や参照できる資料の数量は限られるが、限られるからこそある意味で無駄のない検索・収集が可能になる。図書館以外の情報源を利用する必要がないからだ。今すぐそこにある書籍や、実際に手に取って触れることができる資料を参照するだけでも、かなり質の良い情報が得られるはずだ。情報の大海を泳いでいくようなウェブ検索も悪くないが、向こうから波が迫ってくる流れるプールのような受け身的な図書館利用も十分悪くないと思う。

第3回 5月2日

効率のよいパソコン操作 タッチタイピング、ショートカットキー

考えたこと、わかったことを言語化する

授業時間中に質問を投げかけることがある。実習授業だからパソコンを操作するだけでよいのではなく、実習内容の意味やパソコン操作の理由を説明することも意義深いと考えているからだ。例えば、「保存ボタンをクリックする代わりにSキーを押すけど、これはSaveのSだと想像できると思います。同様に、保存しない場合にはNキーを押すけど、このNは何を表していると思いますか」「Win+Lはパソコン操作をできないようにするショートカットだけど、Lは何のLですか」のような感じだ。唯一無二の正解を答えるのが理想的なのかもしれないが、そんなことは無視してほしい。

上記の質問に対して、勇気を出して「Not SaveのNです」「ロック?」と答えてくれた受講生がいたが、もちろん正解だ。それでまったく問題ない。思い浮かんだこと、いろいろ考えを巡らせた結論が頭の中にあるのだから、それをそのまま言ってくれればそれで十分だ。そのあとに、「Not Save、つまり、いいえ保存しません、No, I don't.ですね。ですから、NはNoのNですよね」「そのとおりですね。ロックといっても岩のRockではなく、パソコンに鍵をかけるLockのLじゃないですか」と補足説明するのは教員の役割だ。補足説明があれば、うまく言葉にならない思いつきを整理整頓できるし、間違った考えを修正することもできるはずだ。

これは単なる言葉遊びに過ぎない、質疑応答よりもパソコン操作に重点を置くべきだ、という意見もあると思うが、受講生のみなさんはどう思っているだろうか。

教員の発言や説明を疑う

授業時間中は静かに黙って教員の話術を楽しむ、披露されるさまざまな技をありがたく拝見する...そういう姿勢をぜひ改めてほしい。少なくともこの授業では、楽しんでもらえるような話術や技の数々を披露することはできない。取り組んでほしいのは、教員が説明していることが自分にもできるかどうかを実際に試してみる、ということだ。特に、教員が説明していることが間違っているかもしれないので、間違いがないかどうかを確認してみる、という姿勢をもってほしい。実際に、言い間違いやうっかりミスで意図せずに誤った情報を伝えてしまうことがある。どのような理由であれ、誤った情報を伝えてしまうのは教員の力量の問題で、いっさいの責任は教員にある。だが、それでは受講生は不利益だけを被ることになってしまう。それは健全ではない。だから、教員の発言や説明は、まずいったんは受け入れるが、それと同時に、疑ってかかり、本当に正しいかどうかを見極めてほしい。

パソコン実習の場合には、目の前にあるパソコンを実際に操作して、説明どおりの結果になるのか、意図した成果物が得られるかどうかを受講生自身が確認してほしい。もちろん、授業時間外に、授業のすき間時間を使って実習室で、自宅のパソコンを使って、授業内容を検証してほしい。大学生にとってそんなに難しいことではないはずだ。

第2回 4月25日

電子メール Active! Mailの操作、メール利用のルールとマナー、教職員とのコミュニケーション

あてずっぽうに操作しながら知識・スキルを身につける

第1回授業でActive! Mailでのメール送受信テストを行っている最中に、こちらの指示を無視して、アドレス帳の作成・登録を行う学生が非常に多い。隣の席の学生と仲よくなった証しとしてアドレスを登録しておこう、という考えがあるのだと思う。その時に、作成・登録作業が失敗している様子を見たことがない。私はアドレス帳作成・登録のことをいっさい教えていないにもかかわらず、およそ正しい作業を行い、目的を達成することができている。成功確率100%だから非常に優秀だ。教員の指示を無視して好き勝手にパソコンを操作して、自分のやりたいことをやるというのは実習授業あるあるだ。

このことからわかるように、教員が教えなくても、教科書やマニュアルを参照しなくても、サポートやアドバイスがいっさいなくても、パソコンやソフトウェアはテキトーに操作できる。だから、あてずっぽうに操作しながら知識やスキルを身につけることができる。いい加減な操作でパソコンやソフトウェアが故障することはまずあり得ないから、どんどん自己チュー的に、自分のペースでテキトーに知識とスキルを身につけていってほしい。指示があるまで何もしない、指示されたことだけを忠実に再現する、指示されたこと以外は絶対にやらない...こういう態度を取らないようにしてほしい。

英語を勉強する

パソコンやインターネットの用語の多くは英語由来だ。英語由来の用語をかっこよく英語風に発音できれば、それだけでパソコンやインターネットについて英語で話すことができる。例えば、「インターネットを利用する前には必ず、Web認証システムのページでログインする必要がある」という文章には英語由来の用語が5つある。あとは、「認証」を翻訳し、「〜の前に」「〜する必要がある」という簡単な英文を作成すれば、インターネット利用に関する本学独自のローカルルールについての指示文になる。例えば、日本語での意思疎通が難しい英語ネイティブスピーカー教員に対して口頭で指示できるようになる。これはこの授業の受講生にとってはさほど難しい課題ではない。本学での勉強を通じて英語の運用能力を向上させたい、より実践的な作文・会話のスキルを身につけたい、などと思っている受講生は実際に多いはずだ。

なお、多くの大学生がスコアを上げたいと考えているTOEICには、パソコンやインターネットに関連するビジネス会話を取り上げた問題が必ず出題されている。自分はパソコンやインターネットの専門家ではないから得点が下がっても何の問題もない、パソコンやインターネットに関連する問題は無得点でも他の問題で高得点を取ればそれでよい、と考えてもまったく問題ない。そうではないと考えるなら、ごく一般的なパソコンやソフトウェアの操作方法についての用語や関連表現を英語でも学ぶのがよいと思う(加えて、もし可能であれば、履修している地域言語でも)。

第1回 4月11日

本学のローカル・ルールの確認、各種サインイン・ログインの復習

タイピング練習について

授業時間中の「寿司打」での練習の様子を観察すると、令和7年の平均的な大学生はタイピング速度が遅い。練習の成果を尋ねたところ、「高級コース」で黒字になる学生は皆無で、「お手軽コース」でも大半の学生は赤字だった。

以下、昨年度の授業ページから丸ごとコピペする。

令和6年の平均的な大学生はパソコン操作に馴染んでいない。だから、タイピング速度が遅い。タイピング速度が遅いと、与えられたタスクを早く終えることができなくなる。タスクを終えるには長時間のタイピングが必要になる。最悪のタイパ・コスパだ。このような馬鹿げた状況を打破するためには、まずはタイピング速度を上げるしかない。タイピング速度が上がりさえすれば、タスクを早く終えられる可能性が高まる。タイピングの正確性は二の次だ。もし間違えても素早くタイピングし直しして修正すればよいのだから。

このことを肝に銘じてタイピング練習をしてほしい。もちろん、教員の指示に従う必要はないし、助言を盲目的に受け入れる必要もない。

いろいろな用語を覚える

各種サインイン・ログインの復習中、「ログイン名」を入力する欄に自分の氏名を入力している学生がいた。「ログイン名=ログインしようとしている人の本名」と認識したのかもしれない。もちろん、本名ではなく「システム管理者からユーザーに付与された、ログインするための識別子」を入力する必要があった。

経験豊富な人であれば、ログイン名=ユーザー名=ユーザーID=ログインID(=よりシンプルに「ID」)...ということは簡単に理解できる(理解していなくてもログインに失敗することはない)。ログイン=ログオン=サインイン=サインアップ...もまったく同様だ。もちろん、厳密には定義は違うだろうが、ごく一般的なユーザーレベルであれば、いずれの用語も同じものを指すと理解してまったく問題ない。こういうことも、瑣末なことで面白みのないことであるが、大学生として試行錯誤を積み重ねていき、情報システム利用についての知識を深めていってほしい。