草薙キャンパス防災訓練のため、授業は実施しませんでした。
地震を想定した避難訓練でおなじみの「机の下に潜って頭部・頸部を覆う」は英語でduck and coverという。冷戦下のアメリカの小学校では、核攻撃を想定した避難訓練でduck and coverが実践されていた。危機を察したら甲羅の中に身を潜めて安全を確保する亀のバート(Bert the Turtle)が避難訓練のアイコンだった。
もし空が光ったら、いち早く避難しなければならない。核兵器の威力は恐ろしく、もし被爆してしまったら日焼けどころの騒ぎではない。学校の運動場で遊んでいる時や街中を歩いている時ならば、すぐ近くのシェルターに隠れるのだが、シェルターに隠れることができない時はduck and coverだ。
教室での授業中や食堂での食事中だったら、机やテーブルの下に潜ってduck and coverだ。学校の廊下を歩いている時だったら、壁に向かって寝ころんでduck and coverだ。顔を壁に向け、頸部を手でしっかり覆うのが重要だ。同様に、街中を歩いている時だったら、頑丈な建物に向かって寝ころんでduck and coverだ。奥まった戸口もduck and coverに適した場所だ。街中で自転車に乗っている時だったら、自転車を乗り捨てて、物陰に隠れるように身を低くしてduck and coverだ。スクールバスに乗っている時だったら、窓から離れてduck and coverだ。休日にピクニックを楽しんでいる時だったら、レジャーシートでも新聞紙でもなんでもいいから、とにかく顔と頸部を隠してduck and coverだ。いつどこに誰といても、空が光ったら、何はなくともduck and coverだ。
関心がある人はDuck and Cover (1951)をぜひ見てほしい。投稿されているコメントも非常に興味深いので、ぜひ目を通してほしい。
平均的な大学生には、著作物を盗用される、独自のアイディアをパクられる、という経験がほとんどない。だから、著作権をめぐる社会問題に共感しにくいかもしれない。自分の持ち物が盗まれて手もとからなくなってしまった、持ち物が壊されてまったく使えなくなってしまった、肉体が傷つけられて痛みが長期間続いた、受けた傷を治療するために高額の治療費を支払った、というような、大学生でも経験する可能性の高い「わかりやすい被害」とは異なる。だから、著作権侵害の深刻さがいまいち理解しにくい、ということはありうると思う。
大学入試の受験生87名の解答用紙を回収するという業務を想定する。もちろんだが、回収するだけではダメだ。回収した解答用紙の枚数を確認し、受験生数と照合しなければならないからだ。大学生なら誰しもこの光景を受験生として目撃しているはずだ。
試験会場が10人10列合計100席の教室だとすると、1列目の1番目、2番目、3番目...9番目、10番目、2列目の1番目、2番目...というように受験生が着席するわけではない。だから、各列の受験者数はそれぞれに異なるのが一般的だ。だから、解答用紙を回収する前に、各列の受験者数を数えておくのがよい。そして、列ごとに受験者数と解答用紙数を照合すればよい。もしすべての列の照合結果が合っていれば、解答用紙数を合計すればよい。合計が87枚になれば回収完了だ。しかし、数え間違いをする可能性があるから、その場合には再度照合すればよい。ただし、すべての列を再度照合するのではなく、間違っている列だけを照合し直せばよい。照合結果が正しい列をもう一度照合し直す必要はないからだ。このようにすれば、かなり効率的に照合が終えられ、回収業務が終了する。87名の解答用紙を回収するという業務を細かく分割し、分割した業務の結果を統合する、という方針=アルゴリズムだ。
もちろん、業務を分割せずに進めることもできる。ただし、効率が悪くなることが多い。例えば、列ごとの照合を行わず、すべての解答用紙をまとめてから照合してもよい。そうすると、1、2、3、4、5...54、55、56...84、85、86、87のように、解答用紙を1から87まで数え上げていくことになる。大学入試業務の従事者=大学教員であれば1から87まで数え上げることはいとも簡単なことだ。だが、集中力が切れていくつまで数え上げたのかが途中でわからなくなってしまうことがある。解答用紙をうまくめくることができずに数え間違えてしまうこともある。実際にこのようなことは頻繁に起きる。残念なことだが、大学教員の能力はその程度のものでしかない。もし間違えてしまった時に、もう一度1から数え直せばよいのだが、もう一度間違えてしまうこともありうる(大学教員の能力はたかが知れている)。この問題を防ぐために、解答用紙10枚を数え上げたら取り分けて、87枚の解答用紙を細かく分割しながら数え上げていく。もちろん、10枚でなくても20枚でもよいだろう。20枚×4束+7枚=合計87枚で、照合が容易になる。
結局のところ、87枚の解答用紙を回収するという一見すると簡単な業務であっても、いくつかの小さい業務に分割するのが適切なのだ。不適切な方針で業務を進めると、問題が生じた時に対応が難しくなることもある。「アルゴリズム=課題の取り組み方、業務の進め方」という観点で、日常生活を観察し直してほしい。
身近なフィルムカメラとしては、富士フイルム社の「写ルンです」以外にも、同社のインスタントフィルムカメラ「チェキ」が知られている。例えば、本学の学位記授与式では、学部後援会の助成を受けて、自由にチェキで記念写真を撮影できるように、卒業生へのサービスを提供している。毎年のクリスマス・年末年始にテレビCMの新作が公開されていることからも、チェキが根強い人気を誇り、若者からも大きな支持を受けていることが理解できる。
富士フイルムは、現在では、写真・映画用フィルム・カメラの製造開発メーカーではなく、化粧品・健康食品・医薬品・医療機器の製造開発メーカーとしての知名度が高いのではないか。例えば、これまでに「ジェリー状先行美容液 アスタリフト」や「内視鏡AI診断支援技術」のテレビCMを目にして、「フィルム企業なのになぜ化粧品・医療器具?」と思ったことはないだろうか。
テキストp.33の図2.7で紹介されているスイッチのシンボルは、International Electrotechnical Commission(国際電気標準会議)によって以下の標準規格が制定されている。このような国際標準規格が厳密に定義されているから、ユーザーは、海外製の家電製品であっても、自国製の家電製品とまったく同様に、迷うことなく操作することができる。
上記の規格によれば、パワーオンは縦の一本線(算用数字の1ではない)、パワーオフは一本線で描いた円(算用数字の0ではない)である。また、スタンバイはパワーオンとパワーオフの組み合わせである(算用数字の1と0の組み合わせではない)。偶然にも、縦の一本線は算用数字の1と、一本線で描いた円は算用数字の0と、形が似ている。だから、図記号の意味に迷った場合には、1がパワーオン、0がパワーオフ、とみなしてもよいだろう(もちろん正解ではない)。
スマホ操作の熟達度が高いわりにはPC操作の熟達度が低過ぎる、というのが本学部の新入生の第一印象だ。自宅でPCが自由に使えるにもかかわらず、操作に慣れよう、タイピングの速度・精度を高めよう、トライアンドエラーでとにかくやってみよう...という意欲が大きくかけているように見える。自由に使えるスマホを手に入れた瞬間から、一刻も早く操作に慣れよう、タイピングの速度・精度を高めよう、トライアンドエラーでとにかくやってみよう...と意欲満々でスマホを使いまくったのではないか。たとえ寝不足になったり、誘惑に負けて勉強ができなくなったり、通信費用を無駄遣いすることがあったとしても...。この経験を生かせば、PC操作に熟達するなどたやすいことではないのか。
パソコンショップや家電量販店でごく一般的に販売されているパソコンには、テキストp.17にあるようなハードディスクドライブ(HDD)は搭載されていない。その代わりに、ソリッドステートドライブ(SSD)が搭載されている。HDDの内部では、データを記録する円盤「プラッター」が超高速回転している(1分間に5400回転とか7200回転とか)。だから、かつてのパソコンは動作音がちょっとうるさいと思える時があった。経年劣化でプラッターの回転が乱れ、異音が発生することもあった。一方で、SSDの内部には回転する部品は存在しないから、動作音はしない。とても静かだ。もちろん異音も一切発生しない。
HDDとSSDを比較すると、重量がまったく異なる。HDDの方がずっしりと重い。SSDは軽過ぎて心配になるくらいに、本当に軽い。最近の超高性能ノートパソコンは非常に軽量で、1kgを切るものも珍しくない。こんなに軽くて本当に大丈夫なのか、と思うくらいだ。もちろん携行が圧倒的に楽になったのはいうまでもない。
ほぼすべての女性は何らかのコスメグッズや化粧品を日常的に利用している。だから、女子学生にとっては今回のトピックは非常に身近なものだったはずだ。対照的に、男性にとってはコスメグッズや化粧品はやや縁遠いものだ、というのが実際のところだ。だから、今回のトピックは男性にはわかりにくい、女性とディスカッションしようにもそもそも発言のしようもない、という感想をもった男子学生がいたかもしれない。だとしても、わからないから教えてほしい、それはいったい何を意味しているのか、などと質問・発言すればそれでいいと思う。
前書きの冒頭p.xiには、著者カーニハンが大学院生だった1964年当時のスタンフォード大学のコンピューティング環境についての記載がある。価格数百万ドルの汎用コンピューター(メインフレーム、mainframeとも)IBM 7094が空調完備の大部屋に鎮座するという光景は、今日の大学生にはまったく想像がつかないものだろう。当時のコンピューティング環境を理解するために、映画『ドリーム』(監督:セオドア・メルフィ、公開:2016年、原題:Hidden Figures)をぜひ見てほしい。劇中ではIBM 7090がフィーチャーされている。7094は7090の派生機だから、外見はほぼ同じものだと考えてよい。
オンライン派 30%
オフライン派 70%