静岡の若者が知っておくべきこといろいろ

清水エスパルスの試合終了後に流れる曲

清水エスパルスのホームゲームでは、試合終了直後のスコア紹介時に楽曲が流れる。勝利時に流れるのはアメリカ人歌手・ギタリストのロビン・ザンダー(Robin Zander)の「イン・ディス・カントリー」(In This Country)だ。この曲は1987年公開の映画『オーバー・ザ・トップ』(Over the Top)の挿入歌として、アラフィフ・アラ還世代なら誰もが一度は耳にしたことがある思い出深い(が、詳しくはよく知らない)曲だ。また、この曲は1991〜92年に『F1グランプリ』(フジテレビ系列)のエンディングテーマとして使用された。こちらも、当時のF1ブームを知るアラフィフ・アラ還世代には、青春時代が蘇ってくるようなとても懐かしい思い出深い(が、詳しくはよく知らない)曲だ。スローなテンポが闘いの終焉を感じさせ、闘いの疲れが癒されていくようなメロディアスな曲なのだが、歌詞はまったく日本的ではない。若者にはぜひインターネットで歌詞と訳詞を調べ、この曲に込められたメッセージを味わってもらいたい。

引き分け・敗北時に流れるのはアメリカ人シンガーソングライター、レイチェル・プラッテンRachel Platten)による2015年のヒット曲「ファイト・ソング」(Fight Song)だ。パワフルかつ伸びやかで澄んだ高音が印象的なこの曲は、タイトルが示すとおり、闘いに挑む人への応援歌、新たなスタートを切ろうとする人へのサポートソングだ。ただ、「また今日も負けたね」「エスパルスはやっぱり弱いよね」などと会話しながら帰宅を急ぐ人たちの姿をスタジアムで何度も何度も見ていると、非常に複雑な気持ちになるのが正直なところだ。若者にはこの曲に込められたメッセージもぜひ味わってもらいたいのと同時に、何度も何度も聞いて、カラオケで歌えるように練習を積んでもらいたい(JOYSOUNDは685163DAMは3943-14)。

「ファイト・ソング」は、2016年のアメリカ大統領選挙を戦ったヒラリー・クリントン候補の選挙キャンペーンで頻繁に使われた曲でもある。2016年の大統領選挙については日本のニュース番組でも頻繁に報道されたので、クリントン候補と「ファイト・ソング」の関係を知っている若者もいるかもしれない。だが、実を言うと私は、映画『華氏119』(Fahrenheit 11/9)を見るまでこのことを知らなかった。大学教員として学生に対していつもエラそうなことを言っているくせに本当は何も知らないのだということについて、ここでちゃんと白状しておきたい。

もちろん、「ファイト・ソング」について調べる過程で「イン・ディス・カントリー」についても調べた。ここで、ロビン・ザンダーがチープ・トリックCheap Trick)のメインボーカルだということをはじめて知った。私はチープ・トリックの大ファンではないのだが、CDもDVDも所有している『Sgt. Peppers Live』(2009年、日本未発売)は後世に受け継がれるべく名盤だと思っている。しかし、明らかになったのは、名盤について実はまったく何も知らなかったも同然だということだ。早く生まれた分だけ年寄りが若者よりも多くものごとを知っているからといっても、所詮は浅はかで上っ面の知識でしかないことが多いのだ。このごく当たり前のことについても、ここでちゃんと白状しておきたい。

(2018年11月26日掲載)

清水エスパルス北川航也チャントの原曲

こ〜お〜や〜、お〜お〜、こ〜お〜や〜、おおおお〜」の原曲は、イタリア人歌手ドメニコ・モドゥーニョ(Domenico Modugno)のヒット曲、1958年に発表されたバラッド「ネル・ブルー・ディピント・ディ・ブルー」(Nel blu dipinto di blu)である。日本で広く知られているのは、麒麟淡麗極上〈生〉のテレビCMで使用されている、フランス出身のジプシー・キングス(Gipsy Kings)が1989年にカバーしたアップテンポバージョンの「ボラーレ」(Volare)だろう。北川のチャントはカバーのリメイクなのだと、試合からの帰り道にサポーター同士で語り合ってほしい。

ちなみに、ジプシー・キングスはワールドミュージックのジャンルで全世界的に有名なバンドだ。テレビ朝日系列で放送されている『タモリ倶楽部』の名物コーナー「空耳アワー」で多くの歌が採用されていることからもわかるように、日本でも不動の人気を誇るバンドである。

(2018年4月19日掲載)

清水エスパルス白崎凌兵チャントの原曲

し〜ら〜さ〜き〜りょ〜う〜へ〜い〜、ら〜ら〜らららら〜」の原曲は「夢見るシャンソン人形」(Poupée de cire, poupée de son)という歌。歌っているのはフランス・ギャル(France Gall)。原曲の歌詞はとても切なくなる内容。フレンチ・ポップスを聴くのは1960・70年代のおしゃれの最先端。日本でも広く知られていて、たくさんの歌手がカバーしている。だから、年輩のエスパルスサポーターにとってもこのチャントはとても歌いやすい。この曲をチャントに選んだ方に対して最大級の賛辞を贈りたい。

追記

2018年1月7日、フランス・ギャルさんがパリでご逝去され、70年の生涯を閉じた。故人の業績を讃えるべく、「夢見るシャンソン人形」をぜひ聞いてもらいたい。

(2017年4月28日掲載、2018年1月9日追記)

清水エスパルスの試合開始前フラッグパフォーマンスの曲

清水エスパルスのホームゲームでは、選手入場前に公式チアリーディング「オレンジウェーブ」のフラッグパフォーマンスが行われる。2017年シーズンの楽曲は「ミッション:インポシブル」(Mission: Impossible)。トム・クルーズ主演による1996年のアメリカ映画のテーマ曲として覚えている若者が多いかもしれないが、この映画はリメイク。オリジナルは1966年から73年までアメリカで放送されたテレビドラマ「ミッション:インポシブル」。このドラマは日本でも67年から「スパイ大作戦」として放送されたので、60〜70年代に青春を過ごした年輩のエスパルスサポーターにとってもこのテーマ曲は馴染み深い。フラッグパフォーマンスが終わったら「なお、このテープは自動的に消滅する。成功を祈る」と近くにいる年輩サポーターに声をかけてみよう。会話が深まること間違いない。

(2017年10月3日掲載)

清水エスパルスサポーターのビッグフラッグ

サポーター席でたまに掲げられる「LA 12」と書かれているビッグフラッグ。「えるえーじゅうに」「らじゅうに」と読まないように。何語なのか、何と読むのか、どういう意味なのか、自分で調べてみよう、検索サイトで調べれば簡単に調べられるから。ちなみに、「la」は英語で言えば「the」だから、このフラッグを英語で書けば「THE 12」だ。さらにちなみに、「the」に相当する語は「el」と「la」の2つだ。さらにさらにちなみに、この2つにはそれぞれに複数形が存在するが、それらをどのように使い分けるのか、自分で調べてみよう、検索サイトで調べれば簡単に調べられるから。英語だけしか勉強していないとこういう時に困りますよ。テキトーでいいから多言語を勉強しよう。

(2017年5月12日掲載)

清水エスパルス村田和哉チャントの原曲

む〜ら〜た〜かず〜や〜、ららららら〜ら〜」の原曲は「君の瞳に恋してる」(Can't Take My Eyes Off You)という歌。日本で一番有名なのは、1980年代前半に活躍したボーイズ・タウン・ギャング (Boys Town Gang)のディスコミュージック風バージョン。1982年12月のオリコン洋楽シングルチャートで3週連続1位。ディスコでこの曲が演奏されると、サビの直前の間奏では大歓声が上がり、「I love you baby」という情熱的な歌詞とともに観衆は絶頂を迎える。バブル時代に突入する日本の若者文化を象徴する楽曲。80年代のダンスミュージックをフィーチャーしたY!mobileのCMで、現代の若者(とその両親)に耳馴染みのある楽曲。オリジナルはフォー・シーズンズ(The Four Seasons)のメンバー、フランキー・ヴァリ(Frankie Valli)の1967年発売ソロシングル。男の哀愁が漂う少しスローテンポなこのバージョンも素敵。

(2017年5月1日掲載)

清水エスパルス村松大輔チャントの原曲

む〜ら〜ま〜つ〜たいすけ〜、お〜れ〜、お〜れ〜」の原曲は「ラヴ・ミー・テンダー」(Love Me Tender)という歌。全米ヒットチャート1位にもなったことがある、アメリカ人なら誰でも知っているバラード。歌っているのは「キング」とも称されるエルヴィス・プレスリー(Elvis Presley)。スローなバラードをあえてアップテンポなチャントにアレンジした方の勇気を讃えたい。この歌はアメリカ民謡・大衆歌謡「オーラ・リー」(Aura Lee)のリメイクでもある。だから、村松のチャントはリメイクのリメイクである。

(2017年4月28日掲載)