2022年度ベーシック・スタディIII 授業メモ

春休みの自由研究

よいプレゼンテーションとは

以前にも書いたとおり、スピーチやプレゼンテーションはどうやったらいいのか、資料をどう作ったらいいのか、自分の意見をどう発表したらいいのか、質疑応答をどう進めたらいいのか...大学生の大きな悩みだ。この授業には、100点満点のプレゼンテーションのやり方、最優秀の成績を得るための発言・発表の仕方、流れるような澱みのない質疑応答の進め方...を教授することが求められていたかもしれない。授業ではほんのわずかなことしか扱えず、それを完璧に習得することもできない。授業では扱えなかったことについて、大学生の今後の生活に役立つかどうかわからないが、以下のとおり書き留めておきたい。

大学生としてのスピーチやプレゼンテーションには4つの柱があると思う。2022年10月に亡くなったプロレスラー、アントニオ猪木が提唱する「プロレスの4つの柱」を勝手に借用した。

  1. 受け身
  2. 攻撃
  3. 表現力
  4. 信頼関係

スピーチやプレゼンテーションは、聞き手からの質問を受けることを前提に進めなければならない。単に発言する、予習した内容をもとに作成した原稿を読み上げる、というのは大学での授業にはふさわしくない。発言の意図を問われたり、予習内容についての質問を受けたりすること、つまり双方向性が大前提にある。だから、何よりも「受け身の姿勢」を身に着けることが重要だと思う。

質問を受けたり感想を聞いたら、それに返答しなければならない。だから、単に一方的に受け身的になるのではなく、さらなる発言、つまり攻撃ができるのがよい。もちろん、相手を傷つけるという意味での攻撃ではない。自分の個性を出す、人間性を開示する、これまでに習ったことを披露する、という観点での「攻めの姿勢」が必要だということだ。

スピーチやプレゼンテーションは、大学生にふさわしい、ある種のカッコよさや高尚さがあるのがよいと思う。授業で習った新しい言葉を使ってみる、自分で調べた学術用語を織り交ぜてみる、ニュース解説で知った用語を自分流に言い換えてみる...そういう工夫が大学生には必要だ。大学生はことばを操る能力、つまり、「表現力」を身に着ける必要がある。

もちろん、いつでも100点満点のスピーチができるわけではない。唯一無二の正解があるとしても、いい間違えてしまったり、適切な表現が思い浮かばないこともある。この意味で、ある種の間違いや失敗が許容されるという前提で、スピーチやプレゼンテーションが行われるべきだ。ぎこちなくても、完璧にできなくても、なんら問題はない。自分が聞き手の場合には、話者の間違いや失敗を許容すべきだ。相手を蹴落とす、自分だけがよい評価を得る、相手をディスってマウントを取る...という考えを捨てる必要がある。もちろんよいスピーチやプレゼンテーションが行われた時には、相手を褒めるとかポジティブなフィードバックを返す必要がある。自分も相手も高める、全員が向上する...という考えを持つ必要がある。こういうことはある種の信頼関係のもとに成り立つと思う。信頼関係があることを信じて、スピーチやプレゼンテーションをすればよい。

上記の4つの柱は具体的な知識やスキルではないから、具体的に役に立つわけではない。しかし、とても重要な考え方や態度だと思っている。頭の隅に置いてもらえたらうれしく思う。

補講 2023年2月9日

3Dグラフは人を惑わす

Excelを使えばきれいなグラフが簡単に作成できる。適切に収集・入力されたデータをもとに、「挿入-->グラフ」機能を使うだけでよい。グラフの種類を変えれば、異なるグラフに変換するのも一瞬で終わる。

ここで考えておきたいことがある。グラフを作成することは非常に簡単なことだから、まったく意味を成さないグラフを作成することも非常に簡単だということだ。適切に収集・入力されたデータであっても、不適切なグラフを選択してしまえば、作成されたグラフは何の意味も成さない。読者を惑わしたり、事実を歪曲するようなグラフを作成しまわないように気をつけておきたい。たとえ本意に反するグラフであっても、それを作成したあなたの責任が問われる。

3D円グラフを例に考えてみる。例えば、「この授業の受講生は男50・女50の合計100人で、男女比はちょうど半々だ」という統計データを示すグラフだ。Excelワークシートに「男50、女50」と入力し、3D円グラフを挿入するだけで、きれいなグラフが作成される。グラフタイトルを「受講生の男女比」と入力してみた。

受講生の男女比を示す3D円グラフ

ここで、円グラフを右クリックして「3−D回転」を選択する。すると、グラフの傾きや向きを変更することができるようになる。標準は「X方向0度、Y方向30度、投資倒影15度」だ。この数値をあえて大幅に変更してみる。仮に「90度、20度、30度」に変更してみる。すると、円グラフの見た目が以下のように大幅に変更される。

歪なデザインになるように意図的に大げさに回転させた3D円グラフ

変更後のグラフから受ける印象は「受講生の大多数は男だ、男女比で言えば7対3か8対2くらいだ」ではないだろうか。だが、もともとの統計データは「受講生は男女とも50人ずつで、男女比は1対1だ」で不変のはずだ。にもかかわず、グラフから受ける印象はまったく異なる。グラフの傾きや向きを変更したからだ。小さく描くと遠くに感じる、同じ大きさの物体でも遠くにあるものは小さく見える、という「遠近法」を思い浮かべてもらいたい。美術や理科の授業で習ったことがあるかもしれない。

ここまで説明したように、人を惑わすようなグラフを作成することは非常に簡単だ。グラフの書式設定を変更すれば、事実を正しく伝えず、特定の主義主張を誇張して伝えるグラフを作成することができる。3Dグラフは見た目がカッコよく華やかなだ。この理由で、レポートに彩りを添え、「映える」論文にするために、3Dグラフを選択したくなるかもしれない。そのような安易な選択は絶対にやめるべきだ。

ここまでの説明に納得できない人もいるかもしれない。別の例として、「全受講生100人の学年は、1年生40人、2年生30人、3年生20人、4年生10人」という統計データを示す3D円グラフを作成してほしい。一番手前に位置する学年が本来よりも少しだけ多く見えるはずだ。そして、その反対に位置する学年が本来よりも少しだけ少なく見えるはずだ。そもそも3Dグラフは人を惑わすグラフであることが理解できるはずだ。このことをふまえて、傾きや向きをさまざまに変更してみるとよい。人を大きく惑わす3Dグラフを作成することは非常に簡単なことだ。

読みごたえのある文章を書く、意味が正しく伝わるような文章を書く、ということだけがレポート・論文作成の作法ではない。ぜひとも、独自の試行錯誤をさまざまに積み重ねてほしい。

第15回 2023年2月2日

授業のまとめ、振り返り

全15回の授業を総合的に評価する。この授業での経験を今後の授業やゼミに生かすために、授業全体を建設的かつ批判的に振り返る。

できるようになったこと、特別に体験できたこと

もっと練習すべきだったこと、もっと取り組むべきだったこと(教員の視点から)

一期一会、合縁奇縁、巡り合わせ

授業時間中に、『週刊朝日』の2023年1月20日号に掲載された2つの記事を配付した。いずれも東海テレビが製作・配給したドキュメンタリー映画『チョコレートな人々』(鈴木祐司、2022年)が紹介された記事だ。単なる偶然なのかもしれないし、広告戦略の一環かもしれないのだが、同じ雑誌のまったく独立した複数の記事でひとつの映画が紹介されるのはとても珍しいと思っている。

この授業では、『劇場版 荒野に希望の灯をともす」』という映画を見たが、本編上映前に『チョコレートな人々』の予告編が流れた。記事を配付した時にこのことに触れたところ、思わず「あぁ!」と驚きの声を上げた受講生がいた。もちろん、そのことを狙って記事を配付したので、してやったりと内心喜んでいた。

特別な理由なくたまたま履修した授業で、自分の意思とはまったく関係なく教員によって与えられた教材やトピックを通じて知ったことが、授業外の世の中の動向やキャンパス外のプライベートな生活と結びつくことがある。自分自身の人生観や家族のあり方のようなものと結びつくことがあるかもしれない。結びつきに気がつかないこともあるが、何かのきっかけで少し時間が経ってから気がつくこともある。世の中の動向と自分自身が深く関連付いていると感じるようになり、これまでとは違う興味関心が湧いてくるかもしれない。こういった偶然の結びつきを受け入れる心の余裕を持ち、発見や気づきの連鎖ものを楽しんでもらいたいと思う。

第14回 2023年1月26日

レポートの校正・推敲

授業は成立しませんでした。

図表の扱い方

パソコンで表を作る場合にはExcelを利用する、Excelを駆使すれば見栄えのよいグラフが作成できる、ということはほとんどの大学生が理解しているはずだ。一方で、表やグラフを作成する機会は自分にはない、高校までの授業で少しやったことがあるが自分には到底無理だ、ということをほとんどの大学生が思っているはずだ。加えて、表やグラフを作成しなければならないのはいわゆる理系の大学生だけだ、文系の大学生である自分にはまったく関係がないことだ、学術的な文章をうまく書くことができればそれで十分だ、と半数近くの大学生が思っているはずだ。とても残念なことだ。

Wordには高機能な作表・作図機能が備わっている。要点を理解すれば、Wordでも非常に美しい図表を簡単に作成することができる。さまざまな機能を駆使すれば、およそどのような図でもフリーハンドで自由自在に作成できる。もちろん作表・作図の基本操作を習得することが大前提で、練習と試行錯誤を重ねることが欠かせない。よいマニュアル本を参考にしながら、描きたい図表を手本に、何度も練習をして、成功体験と失敗体験を積み重ねていくことになる。

例えば、「静岡県の人口の推移」のようなシンプルな表をWordで作成することは簡単なことだ。人口の推移を示すにはどのような情報を表に記載するのか、自分は何列何行の表を作成しようとしているのか、見栄えをどのように整えたらよいのか...これらを思い描きながら、Wordで作表すればよい。パソコンの作業だけで適切な表を思い描くことは難しいので、手書きで下書きをしながら作表を進めるのがよいだろう。

「静岡県の人口の推移」をグラフで表現したい場合もまったく同様だ。人口の推移を表すにはどのようなグラフを選択すべきか、そのためにはどのようなデータを入力すべきか、ということを確認しながら、Wordのグラフ挿入機能を利用すればよい。もちろん、いっさい間違えることなく意図どおりのグラフを完璧に作成できるわけではない。練習と試行錯誤が必要だ。

レポート内容や研究分野によっては、図表の作成がまったく必要ないこともあるだろう。また、どのような内容や分野であっても、図表をまったく利用せずに、文章だけでレポートや論文を書き上げることも可能だろう。だが、図表を活用すればレポートや論文の価値が上がるとわかっているにもかかわらずそれができないとすれば、非常に残念なことだ。そんな高尚なことを行う知識とスキルは自分にはないのだと考えるのだとしたら、考えを改めた方がよい。最低限度の知識とスキルを身に着けるべく、これから少しずつ精進すればよいのではないか。

第13回 2023年1月19日

2022年度メディア・コミュニケーション研究会

2022年度現代社会問題研究フォーラム

統一研究テーマ:子どもの貧困をめぐる社会問題

テーマ提案の趣旨

貧困問題は現代社会が抱える最重要課題のひとつである。特に、幼少期に経験する貧困は、機会と結果の両面で、克服しがたい不平等や格差を子どもに強制する可能性がある。貧困問題を解決するために我々がすべきことは何か。我々は貧困の連鎖を断ち切ることができるのか。以下のトピックについても議論することができるだろう。

本フォーラムの目的は、身分や職位、専門分野の違いを超えて、参加者全員が活発に議論を交わすことである。特に、本学の学生諸君には、授業やゼミで学んだこと、課外活動の成果を他の学生と積極的に共有してもらいたい。そして、社会問題解決のためのヒントを得てもらいたい。

研究報告
  1. 日本が抱える子どもの貧困
  2. ひとり親家庭と子どもの貧困問題

発言や討論も大きな声で

授業でのプレゼンテーションを大きな声で行うと、自動的によいプレゼンテーションになると思う。授業での発言を大きな声で行うと、それだけで気持ちのよい発言になり、講師や発表者も気持ちよくなると思う。例えば、授業の担当教員が小さな声で授業を進めていたら、それだけで授業がつまらなくなるし、集中もできない。学生の発言の声が小さいと、教員としては思わず「もう一回言ってください」「何といっているのかわかりません」などと言いたくなり、その場が白けてしまい、気まずい雰囲気になる。

...そんなことは分かり切っている、いちいち言われなくても十分に理解している、一度言われたら忘れるはずがない...と思っていても、いざ自分が実際にプレゼンテーションしたり発言する時には、そういう簡単なことができなくなる。つまらないことなのかもしれないが、大学生活の必須のスキルとして常に心がけていたい。

大きな声を出すことの大切さは、学生同士の質疑応答や討論の場面でも重要だ。顔見知りの学生同士で質疑応答や討論を行うと、授業以外の場面と同じような、和やかでインフォーマルな雰囲気になりすぎてしまうことがある。座席が近ければなおさらで、ふだんと同じように緊張せずに気軽に話しかければそれでよいという感覚になるはずだ。しかし、それは質疑応答や討論としては適切ではないと思う。

授業には他の受講生がいるし、研究報告会ならば他の参加者・聴衆がいる。受講生・聴衆の存在を考慮に入れた質疑応答や発言ができるのが望ましい。質疑応答や討論はある程度の型や手順のもとに行われるものだ。その型や手順のひとつは、自分の周囲の受講生や聴衆をうまく巻き込むように少しだけ大きな声を出すことだと思う。大きな声を出すとそれだけで注意や関心を引くことができる。そのようにして、他の受講生や聴衆を自分の発言や質疑応答に引きつけて、誰も取り残さないように、全員が参画できるように、周囲に気配りができるようになってもらいたい。

第12回 2023年1月12日

コンビニフィールドワーク

「情報」「メディア」「コンピューター」「インターネット」「コミュニケーション」の視点から、年末年始のコンビニを観察する。スマホで記録した写真・動画をもとに報告する。

店舗装飾の観点から見た年末年始のコンビニビジネス

年末年始のコンビニには特別な店舗装飾があるのか。店舗間の比較を行い、ビジネスモデルの違いを考察する。

手書き文字コミュニケーションとしての年賀状

年賀状離れが進行する中で、あえて年賀状を購入するのはなぜか。手書き文字コミュニケーションの視点をふまえ、年賀状文化の現状を考察する。

メディアミックスによるスイーツ販売

年末年始の特別テレビ番組とタイアップしたスイーツ販売戦略について、番組の視聴者とスイーツの購入者の視点から分析する。

恵方巻ビジネスモデルのバージョンアップの可能性

高速道路パーキングエリア・サービスエリア内コンビニの利用者をターゲットにした、恵方巻ビジネスのバージョンアップの可能性を検討する。

宅配便サービスのビジネスモデル コンビニでの荷物受け取りを事例として

近年、宅配便サービス拠点としてのコンビニの重要度が増している。コンビニ・宅配便業者・消費者はどのようなメリットを享受しているのか。荷物受け取りの事例を中心に検討する。

スマホプレゼンテーションの長所と短所

上記の「コンビニフィールドワーク」の発表・報告では、ふだん利用しているスマホをプレゼンテーション機器として利用した。適切な接続ケーブルが入手できれば、iPhoneでもandroidスマホでも簡単にプレゼンテーションを実施できる。スマホで撮影した高精細な映像をプレゼンテーションで直接利用できるのが、スマホプレゼンテーションの最大の利点だ。ファイルビューワーとしてのスマホは非常に優秀だ。パソコンで作成したプレゼンテーション資料の多くはそのままスマホで表示できるので、必ずしもパソコンを利用しなくてもプレゼンテーションを行うことができる。スマホ利用を前提としたSNSや各種コンテンツ配信サービスの利用の実態をそのまま投影できることも、スマホプレゼンテーションの利点だ。

もちろん、スマホプレゼンテーションにも欠点や短所がある。プレゼンテーション中に電話着信があったり、各種の通知が意図しないタイミングで表示される可能性があることだ。もし、ごく私的なメッセージがプレゼンテーション画面に大きく表示された場合、報告者は非常に恥ずかしい思いをすることになるだろう。もちろん、プレゼンテーションの場の雰囲気を大きく壊すことにもなる。報告・発表や質疑応答の進行の妨げになることは言うまでもない。

意図しない着信や通知表示を防ぐ一番簡単な方法は「機内モード」を利用することだ。機内モードを利用すれば、電話・データ通信・無線LANなどの通信をほぼ完全に遮断することができる。いっさいの通信ができなくなるので、煩わしい電話着信やSNS受信通知を完全に排除することができる。安心安全なプレゼンテーション環境を構築でき、意図どおりにプレゼンテーションを進行することができるようになる。

もちろん、機内モードの利用にも欠点や短所がある。いっさいの通信ができなくなるために、データ通信を前提としたプレゼンテーションができなくなるからだ。例えば、クラウドコンピューティングを通じたデータのダウンロード・アップロードを実演する、Twitterにメッセージが投稿される様子をリアルタイムでディスカッションする、というようなプレゼンテーションを進めることができなくなる。

プレゼンテーション機器としてのスマホは非常に便利だ。一方で、スマホプレゼンテーションで特別に配慮しなければならないこともある。自分がどのようなプレゼンテーションを行おうとしているのか、プレゼンテーションに必要な条件は何か、十分に予習・準備・リハーサルを行わなければならない。

11・12月の課題

3つの課題からひとつを選択して、3000字程度のレポートを作成すること。詳細は配布資料を参照のこと。

課題レポート作成・提出要領(一部抜粋)

レポート作成のために使用してよい資料は、以下の6つとする。

  1. 本学草薙・小鹿図書館と静岡県内の公共図書館の蔵書・所蔵資料(映像資料を含む)
  2. 官公庁・公的機関の公式ウェブサイトで閲覧できる資料
  3. 映画またはテレビ番組として一般公開された映像資料
  4. 有償配信サービスを通じて視聴できる映像資料
  5. 資料の著者・制作者・管理団体がインターネット上で公式に、正規に公開している資料
  6. 青山が貸し出す資料のすべて

青山宛電子メールの添付ファイルで、WordファイルとPDFファイルを提出すること。メール送信締め切り日時は12月26日(月)18時とする。

レポート作成についての質問・相談は随時受け付ける。青山に問い合わせること。面談が必要な場合、アポイントメントをとること。

第11回 2022年12月22日

映画で学ぶ国際関係学:国際的な人道・復興支援活動

受講生が推薦した以下の映画を鑑賞し、国際的な人道・復興支援についての理解を深める。また、国際NGOが直面する課題、人道・復興支援を継続することの難しさ、国際関係学を学ぶ大学生が果たすべき役割、そのほか関連することがらについて自由に議論する。

映画で学ぶ国際関係学:自然災害を映画で描くことの意義

参考ウェブページ

テレビ番組で学ぶ国際関係学:独裁政治とプロパガンダ映像

第10回 2022年12月15日

「常識」「ふつう」について考える

以下の雑誌を題材に、我々の持つ一般常識や既存の社会通念を批判的に検討する。ものごとの定義や区別への異議申し立て、情報処理や思考のクセを超える方法、そのほか関連することがらについて自由に考察する。

メモ

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参考文献

いずれも本学草薙図書館に所蔵されている。

「常識」「ふつう」について考える(その2)

授業翌日の12月16日(金)、NHK総合テレビで『チコちゃんに叱られる』を見ようとしたところ、直前の告知で「偉人の言葉 Archived by NHK VOL1. 常識を疑う編」が放送された。まったくの偶然なのだが、授業で伝えようとしていたまさにそのことが今見ているテレビから流れてきて、本当に驚いた。同時に、自分の授業がいかにみすぼらしく、実りないものだったかということを痛感した。常々思うのだが、大学のつまらない授業よりも、テレビやラジオ、新聞や雑誌、映画や書籍などを通じて学ぶことの方が重要だと思う。

紹介されている4人の偉人は、大学生にとっては名前を何回か聞いたことがあるくらいの、歴史上の人物かもしれない。ひょっとすると、名前を一度も聞いたことがないかもしれない。アラフィフ、アラカンの世代は絶対に知っている。ぜひご両親と話をして、偉人のことを少しでも知ってほしい。

第9回 2022年12月8日

言葉と向き合うことの重要性 テキスト・コミュニケーションを巡る社会問題

以下の雑誌記事を参考に、書き言葉による意思疎通の特徴を理解し、言葉と向き合うことの重要性について自由に考察する。

議論したこと、気づき

研究情報・資料の収集、内容と妥当性の検証

以下の雑誌記事で紹介されている「1891(明治4)年に、日本初の海底電信ケーブルが敷設された」「日本の国際情報通信は長崎で始まった」という史実について、さらなる情報収集を試みる。入手した情報・資料を精査し、史実に関する記述の正確さや妥当性の検証を試みる。

情報収集の進め方、検証の方針

上記の記事で紹介されている史実はKDDIミュージアムでも広く紹介されている。海底ケーブル敷設を手がける世界的な企業でもあるKDDIが紹介していることだから、まず間違いはないと思われるし、そう信じたい。だがここでは、全面的に信用していいかどうかわからないと、あえて問題提起する。つまり、「紹介されている史実の内容は間違っているのではないか」という仮説を立ててみる。そして、仮説の答えを独自に自分流に考えてみる。まったくの独力で答えを導くことはできないので、情報を検索してみる。具体的には、史実がさまざまな方法・場所で紹介されているか、特に、学術研究書で紹介されているかを調べてみる。

少し時間をかけて調べてみたところ、幸運にも、本学図書館に所蔵されている以下の書籍で史実が紹介されていることがわかった。

さらに幸運なことに、静岡大学附属図書館に所蔵されている以下の書籍にも、史実が紹介されていることがわかった。

ここまで総合して、異なる著者による複数の研究書で紹介されているから、どうやら史実は間違いなさそうだと、よりいっそう強く信用したいと思う。平たく言えば、ひょっとしたら史実は間違っているのではないかと疑っていたが、それは正しくなかったということだ。慎重に慎重を期して立てたマイ仮説は棄却してよい、ということだ。記事の内容を疑ってかかった自分自身はダメな人間だ、他人を信用しない自分自身を全否定したい、ということではない。だから、自分自身を卑下する必要はない。このことを今一度自分自身に言い聞かせておこう。

最後に、もし万が一にも史実が間違っているとしたら、世界でも有数の大企業が自らの価値を下げることになる。間違った情報を広めることによって全世界から疑いの目を持たれる、リスクを冒してまでそんな馬鹿げたことをすることはないだろう。その意味でも、紹介された史実はまず間違いないだろう。

受講生が「電信」という用語を知っていて驚いた

上記のとおり、海底ケーブル敷設の歴史についての雑誌記事を授業時間中に配付した。記事を配付したのには2つの理由がある。ひとつは、「海底ケーブル敷設は情報通信についてのトピックで、国際関係学とは何も関係ない」「国際関係学に直接関連しないことからは何の学びも得られない」というようなつまらない凝り固まった考え方を捨てよう、ということに気づいてもらうためだ。もうひとつは、「あるひとつのことを学んだらそこから学びを少しずつ広げていくことができそうだ」「記事の中からキーワードや重要な概念をうまく拾い上げられれば、さらに多くの資料や文献を収集できそうだ」ということを理解してもらうためだ。もちろん、十分には伝えられなかったと思っている。

ところが、教員の至らなさとは関係なく、思わぬ発見もあった。ある受講生は「電信」という用語を知っていた。曰く、歴史の授業で見聞きしたことがあるとのこと。さらに、記事で紹介されている史実をもし知っていたら、歴史の授業の理解が変わったかもしれないとコメントしてくれた。とても驚いた。これまでに自分が知っていることと授業での学びが意図しない形で突然結びついたことにとても驚いたのではないかと、受講生の心の中をポジティブに想像した。

学術的であるかどうかに関係なく、いろいろな知識や経験が増えていくと、何かと何かが結びつく、最初は理解できなかったことがあとで理解できる、あることの違う側面が突然浮かび上がってくる、という体験がどんどん増えていくと思っている。とても楽しいことなので、どんどん体験していってほしいと思っている。学生の特権として、自己流に自己チュー的に勝手に授業時間内にも授業時間外にも、どんどん楽しい体験を積み重ねていってもらいたいと思っている。その体験の手助けをするのが教員の役割だと思っている(授業は上手くできないけど)。

第8回 2022年11月29日(火)

パブリックスピーチ、プレゼンテーションの評価

以下のテレビ番組を視聴し、パブリック・スピーチとプレゼンテーションについて自由に考察する。

議論したこと、気づき

小学生目線で学ぶ

スピーチやプレゼンテーションはどうやったらいいのか、資料をどう作ったらいいのか、自分の意見をどう発表したらいいのか、質疑応答をどう進めたらいいのか...大学生の大きな悩みなのだが、小学生も同じように悩んでいる。小学生が抱えている悩みを知れば、これまでと違ったものが見えてくるのではないか。スピーチやプレゼンテーションについて小学生が学ぶ様子を知れば、大学生にとっても有用な答えが見えてくるのではないか。

NHK for Schoolで「プレゼンテーション」を検索すると、40の番組・ムービークリップがリストアップされる。そのうちのひとつ、小学3〜6年生向けの「プレゼンテーションってどうやるの?」を見てみよう。たった5分のクリップだが、大きな気づきがあるはずだ。つづいて、同じく小学3〜6年生向けの「プレゼンテーションのコツ ~スライドの文字は少なくキーワードで書く~」「プレゼンテーションのコツ ~写真やグラフの数はしぼりこむ~」「プレゼンテーションのコツ ~聞き手を引きつける~ 」を見てみよう。合計時間は10分に満たない。にもかかわらず、重要な知識とスキルを学ぶことができる。驚くべきことだ。最後に「ポイントまとめアニメ」を見れば、なんと23秒で復習が終わる。1年が経過したつもりになって、小学4年生になったつもりで、「しまった!~情報活用スキルアップ~ プレゼンテーションを作る」を見れば、スキルアップ間違いなしで、知識も定着するはずだ。

NHK for Schoolは、受信契約の有無に関係なく、なんと無償で利用できる。提供されている教材は非常に高品質だ。高品質な教材が無償で利用できることは本当に驚くべきことだ。「○○を自分は教わってこなかった」「自分が小学生の時は△△についての授業はなかった」などと馬鹿げた言い訳をせず、NHK for Schoolで勉強すればよい。独習・自学こそ勉強の醍醐味だ。

第7回 2022年11月24日

パブリックスピーチ、プレゼンテーションの練習 時事問題を題材に

この1〜2週間で報道されたさまざまな時事問題や社会問題をひとつ取り上げ、その概要と注目した理由について説明する。

講評、振り返り、気づき

校正・推敲の練習、よりよい文章を書くための実践(その2)

配布資料を参考に、校正・推敲の練習を行う。加筆修正を提案し、その理由を説明する。よりよい文章を書くための心構え、実践的な技術と知識を共有する。第2回授業で学んだ技術と知識の定着を図る。

講評、振り返り、気づき

知ったかぶって堂々と話すことの大切さ(その2)

日本のプロサッカーJリーグガンバ大阪所属のブラジル人選手パトリックの「涙の別れ」が注目を浴びている。2014年シーズン途中から2022年シーズン終了まで通算8シーズン在籍したパトリックはチームの中心選手だった。Jリーグカップ最優秀選手賞1回、リーグベストイレブン1回、優秀選手賞3回、月間MVP1回の受賞歴を誇る名選手だ。2022年シーズンはチーム最多の5得点を上げ、チームのJ1リーグ残留に大いに貢献したが、シーズン終了後の11月8日に契約満了が発表され、チームを去ることになった。

パトリックは11月15日、ファンに別れを告げるメッセージをTwitterに公開した。約2分間の動画では、自身の肉声でファンへの別れをすべて日本語で告げた。涙ぐみながら別れの挨拶をするパトリックの姿に、多くのファンが強く心を打たれた。非常に多くの感謝のメッセージがパトリックに寄せられている。

パトリックが日本語を熱心に勉強していることは、ガンバ大阪ファンだけでなく日本のサッカーファンの間でも広く知られている。勉強の様子をパトリックがTwitterに公開し、それを見たファンが間違った日本語を添削し、正しい日本語を教える...ガンバ大阪ファンの間では日常生活の一部にもなっていた。パトリックが日本語を交えてヒーローインタビューに応対する姿も、Jリーグ中継ではおなじみの光景だった。

パトリックにとって日本語を勉強することは、単に言葉を学ぶ以上の重要な意味を持っている。パトリックは日本国籍の取得を目指している。日本国籍の取得には、「日常生活に支障のない程度の日本語能力(会話及び読み書き)を有していること」が要件とされている。大人になってから外国語を学ぶことが難しいということはもちろん理解しているが、もし自分だったらパトリックと同じように努力できるのか、真摯な態度で勉強を続けられるのか、私には自信がまったくない。単に日常会話を身に付けるだけではなく、日本語の助詞の使い方を習うことや書き取りドリルに取り組むことがいかに大変なことか、正直よくわからない。しかも、自分の能力が他者から厳しく審査されるとしたら、その結果NGとされてしまうとしたら...。

英語を学ぶ大学生は、三苫だけでなくパトリックを見習うべきだ。もちろん、英語以外の外国語を学ぶ大学生も同様だ。多少間違っているとしても自信を持って話し、そして書く。限られた語彙を駆使して知ったかぶって話し、そして書く。相手をがっかりさせないように堂々と話し、そして書く。会話を成り立たせるために話し続け、そして書き続ける。言い間違いや覚え間違い、書き間違いを繰り返し、少しずつ上達していく。パトリックの過去のTweetを見ていろいろなことを考えてほしい。

第6回 2022年11月17日

授業開始時の課題

提出済みの自己紹介シートを以下の形式で再提出すること。提出期限は16時35分とする。

  1. パスワード付きWordファイル
  2. パスワード付きPDFファイル

参考ウェブサイト

以下はマイクロソフトが公式提供しているサポート情報である。メーカーが公開している情報だからまず間違いがないし、全面的に信用してもよい。一方で、以下の情報を馬鹿正直に参照すると、Excelではパスワード付きPDFファイルを作成できないようだ。果たしてこれは本当なのだろうか。WordとPowerPointで行えることがExcelでは行えない、ということがありうるのだろうか。また、2つ目の情報はOffice旧バージョンについてのもので、最新バージョンにもそのまま適用できるとは限らない。最新バージョンについての情報はいったいどこにあるのだろうか。総合して、我々ユーザーはいったいどうすればよいのだろうか。できることとできないことを正確に見極めるにはどうしたらよいのだろうか。必要としているサポート情報を適切に入手するにはどのような知識とスキルが必要になるのだろうか。そもそも、情報を検索するとはいったいどのような行動なのだろうか。

  1. パスワードで文書を保護する
  2. Office アプリケーションで PDF 形式のファイルを保存する時にパスワードを設定する方法

質疑応答の実施を前提としたプレゼンテーションの練習

Wordファイルをパスワード付きPDFファイルに変換する方法を解説し、聴衆からの質問に回答する。プレゼンテーション全体の時間は10分とする。

聴衆からの質問

講評、振り返り、気づき

知ったかぶって堂々と話すことの大切さ

イングランドのプロサッカープレミアリーグブライトン・アンド・ホーヴ・アルビオンFCに所属する三苫薫に注目が集まっている。FIFAワールドカップカタール2022日本代表にも選出されている三苫は、11月5日のウォルバーハンプトン戦で、自身のリーグ初ゴールを含めたチーム全3得点に貢献した。チーム公式YouTubeチャンネルには、「三苫薫、プレミアリーグへの適応は順調」と題する試合後のインタビュー映像が公開された。視聴者からは、「うまく英語でコミュニケーションできることに驚いた(青山訳)」「頑張って難しい単語も入れて話そうとしてて偉いな(本文のまま)」「英語を話すのを初めて聞いたけど、かなりうまいと思う(青山訳)」「英語がうまい(青山訳)」「ヨーロッパに来て1年足らずで、こんなに英語をうまくしゃべるとは(青山訳)」「話せるんかい!すげぇ(本文のまま)」など、通訳を入れずに英語で応対する三苫の英語コミュニケーションスキルを評価するコメントが多く書かれた。

日本に生まれ育った三苫はごく一般的な日本の若者だ。もちろん、英語のネイティブスピーカーではない。三笘が話す英語は、文法や語彙の面で100点満点の英語ではない。よく聞けばわかるが、コメントの途中で言いよどんだり、単語を間違えたりしている。自分の思いを100%間違いなく英語で表現することもできないだろう。サッカーの戦術やテクニックに関する用語をすべて英語で理解しているとは限らない。しかし三苫は、(ネイティブスピーカーの)インタビュアーと何の問題もなくコミュニケーションを交わしていた。三笘のコメントをインタビュアーが聞き返すことも、(質問の意図を完璧に反映しているとは限らない)三笘のコメントにインタビュアーがいらだつこともなかった。二人の間に沈黙が生じることも、ぎこちない雰囲気が漂うこともなかった。

英語を学ぶ大学生は、三苫を見習うべきだ。多少間違っているとしても自信を持って話す、限られた語彙を駆使して知ったかぶって話す、相手をがっかりさせないように堂々と話す、会話を成り立たせるために話し続ける...これらの大切さを三笘から学ぶべきだ。もしあなたが日本語を話す外国人とコミュニケーションするとしたら、何を考えるだろうか。日本語が完璧ではない、文法が間違っている、発音がネイティブ流ではない、声が小さくて頼りなさそうだ、会話がスムーズに進まない、ネイティブじゃない人との会話は面倒くさいしイライラする...そんなことは考えないはずだ。つまらないネイティブスピーカー信仰や外国語習得についての神話を今すぐ捨て去って欲しい。

第5回 2022年11月10日

研究情報の剽窃・盗用、コピペ、捏造

以下の新聞記事を参考に、研究倫理について自由に討論する。

討論のメモ

参考テレビ番組

パソコンでファイルを管理する時の注意

青山はおよそ以下の方法で、パソコンでの業務を進めている。

  1. 業務開始直後、デスクトップに作業用ファイルを保存する。ファイル名は「作業開始日+業務内容」とする。
  2. 作業時にファイル名を「作業終了日時+業務内容」に変更する。名称を変更したファイルを外部ディスクに保存する。つまり、一日の成果物が業務用パソコンの内蔵ディスクと外部ディスクの両方に保存される。
  3. 翌日の業務は、デスクトップ上のファイルで進める。外部ディスクに保存されているファイルはバックアップとして扱う。作業履歴を残すため、終業時にファイル名の作業終了日時を修正し、外部ディスクに保存する。デスクトップには最新の作業用ファイルが、外部ディスクにはすべての作業履歴が保存される。

ところが、つい先日、上記のマイルールに従わずに、業務を進めた。具体的には、作業用ファイルの名称を単に「業務内容」と指定した。1つ目の業務を終えた後、2つ目の業務を始めた時に、一意のユニークなファイル名ではなく、単に「業務内容」を指定した。最終的には、2つ目の作業用ファイルを外部ディスクに保存した時に、1つ目のファイルを置き換えてしまった。1つ目の業務の成果物は2つ目の業務の成果物で上書きされてしまった。成果物は削除され、復旧もできなくなった。ファイルを上書きすることについての警告が表示されたが、不注意にも上書きしてしまった。より具体的に言えば、数週間を費やした授業準備を消し去ってしまった。もちろん自分自身にすべての責任がある。

このような馬鹿馬鹿しい失敗をしないように、受講生には十分に注意してもらいたい。一意になるユニークなファイル名を指定しさえすれば、ファイル管理はより簡単になる。ファイル管理がより効率的になるような、パソコン操作についての独自のマイルールを模索してほしい。

第4回 2022年10月27日

授業開始時の課題 図書館の利用、蔵書の借り出し

以下の書籍を本学草薙図書館から借り出すこと。

図書館の蔵書検索

電子提出のネチケット

配布資料を参考に、「電子提出のネチケット」について自由に考察する。

意見、気づき

簡単なことでも組み合わさると難しい

私が大好きなビートルズホリーズの歌を4つ取り上げて、英語聞き取り練習用の自習教材を配布した。暇つぶしをかねて聞き取り練習をしてほしい。歌はすべてYouTubeで聴くことができる。多くのアマチュアアーティストがカバーしているから、ぜひ聞き比べてほしい。

配布時にコメントしているとおり、教材で取り上げた歌は小難しい内容のものではない。歌詞を見ればわかるが、いずれの歌も難しい単語や熟語を使っているわけではない。高校までの英語の授業で習った単語や熟語ばかりだ。もし見慣れない単語があったとしても、手元にある辞書で調べられるはずだ。歌詞には文学的な表現が使われているが、まったく理解不能だというものではない。歌詞の日本語私訳を添えておいたが、それがなくても歌全体の意味は理解できるだろう。

教材を見ながら歌を聴いてみると、歌詞を正しく聞き取ることができないことに気がつくはずだ。運が悪いと、聞き取れるのは題名を繰り返すところだけかもしれない。たったひとつの単語すら聞き取りできない、非常に簡単な単語が連なっているだけなのにさっぱり聞き取れない、ということもあるだろう。

何ごとについても当てはまると思うのだが、簡単なことがひとつできるようになっても、次に何かを練習している間に忘れてしまったりする。さらに次の何かを練習している間には、一番最初のことがまったくできなくなってしまうことだってある。ひとつひとつは簡単なことであっても、それらが組み合わさると非常に難しくなる。一つ目のことが上手くできても、二つ目に突入した瞬間に緊張してしまい、三つ目にたどり着けないということもあるだろう。

こういったことは、勉強以外の場でたくさん経験しているはずだ。知識や技術を習得するコツ、練習を積み重ねていく方法、緊張のほぐし方、未知の状況に対峙する時の心構え...いろいろな自己流のやり方や工夫があるはずだ。特に、スポーツや芸術に慣れ親しんできた人は、練習時間以外の創意工夫やすき間時間での自主練習の経験があるはずだ。これまでの知識や経験を勉強でもぜひ生かしてほしい。

もちろん、歌詞の聞き取りという課題は大学生にとってはあまり面白くないものだし、大学生活において大きな価値があるというわけではない。卒業後の人生を左右する重要な意味があるわけでもない。だから、熱心に取り組む必要はない。もちろん、うまく課題がこなせない時にはあきらめてもよい。そもそも、配布した教材の歌詞が簡単に聞き取れるならば、課題としては簡単過ぎるから、自分自身でより難度の高い課題を設定して、次のレベルにどんどん進んでいってほしい。

第3回 2022年10月20日

受講者の自己紹介 初めてのパブリックスピーチ

1分間の自己紹介を行ってみる。テーマ・内容は自由に設定してよい。自己紹介のための準備を行っても行わなくても、どちらでもよい。どのような準備を行ってもよい。

感想、振り返り

「ガクチカ」をめぐる社会問題

以下のテレビ番組を視聴し、大学生の就職活動と企業の採用活動の実態についての理解を深める。

授業での学びを紡いでいくこと

教員が学生に知識やスキルを習得させるのが授業という場だ。ひとつひとつの授業はお互いに独立しているから、教わった知識やスキルがばらばらで一貫性がなく、まとまりがないように思うことがあるかもしれない。授業で教わることは実生活では役立たないのではないかという疑念も生じるだろう。知識やスキルを身につけるのはよい成績をおさめるためだという考えが頭に浮かぶこともあるだろう。もちろんそういう側面があることは否定できない。授業で扱うことは必ずしも実用的なものではないし、実生活ですぐに役立つものばかりではない。このことはいったん保留にしてほしい。

教員として強く思っているのは、授業で学ぶことを自分自身で自己流に自己チュー的に紡いでいってほしいということだ。授業には、同じような年齢、同じような学歴、同じような学力、同じような関心事...をシェアする、お互いに似たような学生が集っている。だが一方で、異なる側面もたくさんあるはずだ。高校までに経験したこと、部活動やサークル活動で打ち込んできたこと、勉強の得手不得手、心に秘めている本当に本当の関心事...そういうことがらを大切にしてほしい。そして、それらをベースにして、大学の授業に臨んでほしい。知ったかぶって勘違いしながら自分勝手に勉強してほしい。もちろん、授業時間外の学びが大切だ。自己チューで勉強していった結果、そこに個性や人間性のようなものが自然に少しずつ現れてくると思う。

第2回 2022年10月13日

校正・推敲の練習、よりよい文章を書くための実践

青山が作成した自己紹介文を校正・推敲する。加筆修正を提案し、その理由を説明する。よりよい文章を書くための心構え、実践的な技術と知識を共有する。

青山が実践したこと

青山が心がけていること

感想、振り返り

授業で発言すること

発言することは勇気や気合いが必要だ。発言内容が的外れだと分かったら小恥ずかしい思いをするだろうし、明らかに見当違いな回答をしたら気まずい雰囲気を味わうことになるだろう。でも、授業以外にも人生にはそういうこともあるわけだから、必要以上に気にすることをやめてほしい。小恥ずかしい思いや気まずい雰囲気をやり過ごす、気を取り直す、失敗を引きずらずに前を向く...そういう心構えをもと、気持ちをどんどん切り替えていってほしい。少しずつ練習していってほしい。一方で、授業で発言することは小学生の時から何度も繰り返しやってきたはずだ。だから、本来であれば、あらためて練習しなくてもよいはずだ。

配布資料でタレントのパックンが指摘しているとおり、授業では「知ったかぶり」して発言してよい。そもそも授業で発言を求められる場合、100%の正解や唯一無二の正解を答えることは求められない場合がほとんどだ。だから、知ったかぶって間違えたとしても何の問題もない。「わからない」「思いつかない」などと発言されてしまうと、教員としては本当に困ってしまう。発言せずに黙りこくってしまうというのも、授業の間が持たず、対処に困ってしまう。テキトーでいいので何かを答えてほしい。あなたの目の前にいる哀れな教員を手助けしてほしい。

配布資料

第1回 2022年10月6日

授業の目的や方針の確認

メディア・コミュニケーションの観点から、現代社会を広く学んでいく

プレゼンテーション、質疑応答の練習を行う

授業に参画・貢献する

授業のルール

教員の誤りを適切に指摘する

授業時間中に確認したとおり、「授業終了時の課題」の提出締め切り日時には誤りがあった。パソコンやスマホでカレンダーアプリを参照すれば、この誤りに簡単に気づくことができたはずだ。また、第12回から第15回までの授業実施日にも誤りがあった。2022年と記載されていたが、新年明け1月と2月に実施する授業だから、正しくは2023年だ。この種の誤りはカレンダーを参照しなくてもすぐに気づかなければならない。

教員の発言、説明、教材、配布資料...その他なんでも、明らかな誤りや矛盾に気づいたら指摘してほしい。誤字脱字・誤変換、スペリングミス、ページ抜け、印刷の汚れや乱れ...それらに気がついた時点にその場で指摘してほしい。あとでこっそり指摘する、面と向かってじゃなくてメールで指摘する、友だちと相談してから指摘する、直接言いにくいので事務局を通じて指摘する、ハラスメントを受けそうだから指摘しない、そんなに重要じゃないから気づかないふりをする...というのを絶対にやめてほしい。受講生にとって不利益が生じるような誤りや矛盾であればなおさらだ。その場で指摘されればすぐに訂正できるから、新たな不利益が生じることがない。また、訂正情報を全員で共有できれば、誰も取り残すことなく全員が少しだけ幸せになれる。教員にとっては、自身の無能さをあらためて自覚し、事務処理能力をスキルアップさせる絶好の機会となる(ほとんどの教員は他人からダメ出しを食らうことがないので、貴重な機会だ)。

2022年10月14日追記

第12回から第15回までの授業実施日は、年だけではなく日付けにも誤りがあった。1日ずれていた。想像がつくだろうが、このウェブページは昨年度の授業ページの複製をもとにして作成した。このために、昨年度の授業実施日をそのまま掲載し続けてしまった。全学の教務カレンダーと照らし合わせて授業実施日を適切に修正する必要があったということは言うまでもない。少なくとも第1回授業終了後に全体を再点検して、正しく修正を行うべきだったが、この2週間まったく忘れてしまっていた。

授業終了時の課題

以下のトピックから3つを選択し、自己紹介シートに記載して、電子メールの添付ファイルで青山に提出すること。提出締め切りは10月11日(火)(月)20時とする。

  1. 中学・高校時代に取り組んでいたこと。大学入学以前に熱中していたこと。
  2. これまでの授業を通じて関心を持ったこと。来年度の1年生にお薦めしたい授業。
  3. 国際関係学部の志望理由。これから専門的に学んでみたいこと。
  4. 授業とは関係なく自分自身で取り組んでいること。趣味やこだわり。大学在学中にやってみたいこと。
  5. 英語の勉強について感じていること。英語運用能力の自己評価。